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1細胞ごとの糖鎖と遺伝子の情報、1万個分を一斉解読

 国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」という)細胞分子工学研究部門 多細胞システム制御研究グループ 舘野浩章 研究グループ長と、筑波大学大学院ヒューマンバイオロジー学位プログラム(博士)大学院生 Sunanda Keishamさんは、組織などから分離した約1万個の細胞の1個1個に発現する糖鎖とRNAを次世代シーケンサーで一斉解析するドロップレット型1細胞糖鎖・RNAシーケンス法(ドロップレット型scGR-seq法)を開発しました。

 細胞表面の糖鎖はさまざまな疾患の創薬標的や再生医療用の細胞の品質管理に利用されています。以前われわれは、DNAバーコードを標識したレクチン(糖結合タンパク質)を複数、細胞に反応させ、1細胞ごとに微量遠心管に分離した後、次世代シーケンサーで細胞外の糖鎖と、細胞内のRNAの発現情報を1細胞ごとに取得する技術を開発しました。しかし従来の微量遠心管に1細胞を分注するプレート型の方法では、一度の実験で解析できる細胞数は数百個程度が限界でした。本成果では、ドロップレット技術を導入することで、約1万個の細胞を1回の実験で解析できるようになり、従来法と比較して処理できる細胞数が100倍程度向上しました。異なる細胞型間の違いや、同じ細胞型内における細胞表面糖鎖の多様性をより包括的に解析できるようになるとともに、少数しか含まれないような希少な細胞の情報も迅速に取得できるようになりました。

 なお、この技術の詳細は、2024年1月2日に「Small Methods」にオンライン掲載されました。

 ※詳細は図下のプレスリリースをご覧ください。

1細胞ごとの糖鎖と遺伝子の情報、1万個分を一斉解読

プレスリリース

投稿論文

  • 論文タイトル:Droplet-based glycan and RNA sequencing for profiling the distinct cellular glyco-states in single cells.
  • 著者:Sunanda Keisham, Sayoko Saito, Satori Kowashi, Hiroaki Tateno
  • 雑誌:Small Methods January 2, 2024.

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