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膵臓がんにおけるエネルギー共有メカニズムの理解

 ステムセルバイオテクノロジー研究グループの二橋 佑磨研究員と木田 泰之研究グループ長をはじめとする共同研究チームは、膵臓がんのエネルギー供給の秘密を解明しました。膵臓がんは、複数の細胞が集まって形成する複雑な環境、つまりがん微小環境(TME)で成長します。これらの細胞は互いに情報を共有し、エネルギー供給物質の生成と消費を通じてがんの成長と薬剤耐性を促進します。研究チームは、このプロセスを解明するため、がん細胞とそれを支える線維芽細胞(CAF)を使用した生体模倣モデルを構築し、研究を進めてきました。

 今回、TMEの液性成分と細胞成分における代謝物の網羅的解析を行い、がん細胞とCAFがどのようにエネルギーを生成し、消費するかを理解することができました。これにより、両細胞間での代謝物を介したエネルギー共有メカニズムの詳細が明らかとなり、TMEでの情報通信の一部を解明することに成功しました。これらの研究結果は、TME内の代謝活動をターゲットにした新たな治療法の開発に寄与する可能性があります。

 この共同研究は、筑波大学、九州大学、国立循環器病研究センター、そして産総研の研究チームにより行われました。

膵がん細胞(PDAC cell)とがん関連線維芽細胞(CAF)の代謝的共生

代謝的共生

投稿論文

  • 論文タイトル:Decoding Metabolic Symbiosis between Pancreatic Cancer Cells and Cancer-Associated Fibroblasts using cultured Tumor microenvironment
  • 著者:Yuma Nihashi, Xiaoyu Song, Masamichi Yamamoto, Daiki Setoyama, Yasuyuki S. Kida.
  • 雑誌:International Journal of Molecular Sciences

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