発生ガス分析-質量分析法と二次元相関解析アプリを用いたポリ塩化ビニル樹脂の簡便な可塑剤検出
事例No.
AT-0025
概要
EGA-MS法は簡便な分析法であるが複数の添加剤を分離検出するには向かない分析法である。しかしながら産総研発アプリによる二次元相関解析を実施して異時相関図に現れたシグナルを解析することで、EGA-MSデータからポリ塩化ビニルに含まれる三種類の可塑剤を簡便に検出することができた。
お困りごと・要望
簡便に樹脂中の添加剤を分析する手法が知りたい
事例提供機関
サンプル
分析方法
可塑剤三種を含むポリ塩化ビニル樹脂約0.1 mgをあらかじめ100 ℃に保温した加熱炉に自由落下により投入し、直後に加熱炉を600 ℃まで100 ℃/minで昇温しながらマススペクトルを0.1秒ごとに取得することでEGA-MS分析を行った。取得したEGA-MS測定データはCSV形式に変換し、当研究グループで開発した二次元相関解析用アプリ(2DCOS_ToolBox)を用いて解析を行った。
分析結果
全イオンサーモグラムでは、約225 ℃付近に低分子量成分の熱脱着由来のピークが観察された。三種類の可塑剤が含まれるにも関わらず、生データからはそのことを確認することはできなかった。
EGA-MSデータにおけるm/z=231-330のマススペクトルを各温度毎に取得し、これらに対して二次元相関解析を適用することで得られた異時相関図は(279, 241)、(279, 259)に負の、(279, 297)、(279, 315)に正のシグナルを示した。同時相関図を考慮すると、m/z = 241と259が初めに、次いでm/z = 279が、その後にm/z = 297と315が検出されたことが分かった。さらに(241, 259)と(297, 315)にシグナルが検出されなかったことから、m/z = 241と259、m/z = 297と315はそれぞれ同時に検出されたことも分かった(図1)。
以上からEGA-MS測定データのみからm/z = 241と259を持つ成分、m/z = 279を持つ成分、m/z = 297と315を持つ成分、の三種の添加剤が含まれることを確認できた。さらにこの結果をNISTライブラリと照らし合わせることにより、これらが今回用いた三種の可塑剤であることが確かめられた。
関連装置
熱分解炉(フロンティア・ラボ EGA/PY-3030D)
ガスクロマトグラフ-質量分析計(島津製作所 QP-2010SE)
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R7年度 分析事例討論会

