ゴム製品の破損原因調査と改善手法の提案

事例No.

AC-0040

概要

液体を封入して産業機器に使用しているゴム部材が客先で液漏れを起こしてしまった。不具合回収品の破れた箇所の周縁には多数のクラックが観察され、その特徴からオゾンクラックが破れの起点になっていると推定した。そこで、オゾン劣化を抑制するための配合処方を提案した。

お困りごと・要望

液体を封入して産業機器に使用しているゴム部材が客先で液漏れを起こしてしまったので、その原因を究明し、対策を講じたい。

事例提供機関

サンプル

産業機器に使用しているゴム部材

分析方法

オゾンウェザーメーターによるオゾン劣化試験(動的・静的)、熱分解GCMSによるゴムの配合剤分析
・ゴム部材から試験片を採取し、オゾンウェザーメーターによる促進劣化試験を行った。さらに、熱分解GC/MSによるゴム部材中の配合剤の確認、ゴム部材の硬さ測定を行った。
・配合処方を提案して試作品を作製し、試作品および実機装着模倣品のオゾン劣化試験を行った。
・熱分解GC/MSを用いて試作品および実機装着模倣品中の老化防止剤の定量分析を行った。

分析結果

・促進劣化試験の結果から、ゴム部材に使用されているゴムは耐オゾン性が十分ではないことが判明した。さらに、熱分解GC/MSによる配合剤分析や硬さ測定の結果から、使用時にゴム中の可塑剤が液体側に移行することで硬くなり、繰り返し変形でクラックが成長しやすくなると推定された。→原因究明
・試作品および実機装着模倣品のオゾン劣化試験、熱分解GC/MSによる老化防止剤の定量分析の結果から、反応性老化防止剤を配合することによってゴム部材の使用環境でのオゾン劣化が抑制されることが示唆された。→改善手法の提案

関連装置

オゾンウェザーメーター(スガ試験機株式会社製 OMS-HNZ)
熱分解GC/MS GCMS-QP2010 Ultra(島津製作所製 )

コメント

促進劣化試験と配合剤分析等の化学分析を行うことでトラブルの原因を推定し、トラブル防止対策についてのアドバイスを行います。

適用可能な材料

合成ゴム、天然ゴム

分析事例討論会

R6年度 分析事例討論会