混合樹脂フィルム表面のナノスケール化学構造・弾性率解析(組成分布)
事例No.
AC-0037
概要
ナノスケールの赤外分光と弾性率のイメージングにより、混合樹脂フィルムの相分離状態を表面から評価した。
お困りごと・要望
ポリスチレン(PS)と低密度ポリエチレン(LDPE)を混合した薄層フィルムについて、
PSとLDPEの分散相サイズを知りたい。
事例提供機関
サンプル
分析方法
AFM-IR、AFM弾性率
分析結果
AFM弾性率(Peak-force Tapping、図1)からは、数μmサイズの海島構造が観測され、島部では相対的に柔らかく/凝着性が高く、海=PS相/島=LDPE相と推定される。同試料をAFM-IR(図2)で観測したところ、島部において芳香環伸縮(1492cmー1、PS由来)のIR強度が低下しており、PSは海部を構成と判定できる。また接触共振周波数像からも、島部での周波数の低下(=相対的に柔らかい)が認められ、AFM弾性率と整合する。さらには、サイズの大きなLDPE相の内部では、100 nm以下の微小なPS相が観測される。このように、AFM-IRにでは従来難しかった細かな相構造まで評価できる。
関連装置
AFMーIR(装置名:Bruker社製 Dimension IconIR)
コメント
AFMーIR装置について:AFMと赤外レーザーを組み合わせ、ナノスケールの赤外イメージングが可能な先端装置です。ほか、機械特性や電気特性、熱特性もナノスケールで可能な「統合ナノ解析」です。化学構造解析の分解能不足でお困りの際には、ぜひお声がけください。
適用可能な材料
樹脂材料全般(複合材料も含む)