積層樹脂フィルム断面のナノスケール化学構造解析(接着界面、内部異物)
事例No.
AC-0036
概要
ナノスケール赤外(AFM-IR)法を用いて、積層樹脂フィルム中の接着層および微小異物の定性を断面方向から実施した。
お困りごと・要望
ポリアミド(PA)とポリエチレン(PE)が接合されたラミネートフィルムについて、
PAとPEがどのような様式で接合されているかを知りたい
フィルムを表面から見ると微小異物が点在しており、その原因を知りたい
事例提供機関
サンプル
分析方法
AFM-IR
分析結果
凍結ミクロトームにより作製したフィルム断面・切片の光学顕微鏡観察から、微小異物は15ミクロン厚のPA層の内部に存在することや、接着層はPE層(60ミクロン厚)との界面で極薄層(<1ミクロン厚)として存在することと推定された。切削断面にてAFM-IR分析を実施したところ、定点でのスペクトル測定から、異物部はシリカ由来と定性され、接着層はマレイン酸系化合物と推定された(図3)。加えて、局所イメージングからは、異物部ではφ50 nmのシリカ粒子が凝集していることや、界面では約300 nm厚の接着層が均一に分布していることが明らかとなった(図4)。
関連装置
AFMーIR(装置名:Bruker社製 Dimension IconIR)
コメント
AFMーIR装置について:AFMと赤外レーザーを組み合わせ、ナノスケールの赤外イメージングが可能な先端装置です。ほか、機械特性や電気特性、熱特性もナノスケールで可能な「統合ナノ解析」です。化学構造解析の分解能不足でお困りの際には、ぜひお声がけください。
適用可能な材料
樹脂材料全般(複合材料も含む)