高温ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリエチレンの分子量測定

事例No.

AC-0035

概要

高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の分子量測定および分岐解析を高温ゲル浸透クロマトグラフィーにより行った。

お困りごと・要望

ポリエチレンの分子量を知りたい

事例提供機関

サンプル

高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)

分析方法

145℃のトリクロロベンゼンを溶媒として高温ゲル浸透クロマトグラフィーで測定した。

分析結果

ポリエチレンやポリプロピレンなど常温で有機溶媒に溶解しないポリオレフィンの分子量を求めるためには、高温でのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)が必要です。市販の高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を測定した結果を図1左に示す。屈折率検出器のデータと標準ポリスチレン(PS)を用いた校正曲線を用いると、PS換算の相対分子量分布が求められ、粘度検出器や光散乱検出器を合わせて用いると絶対分子量分布を求めることができる。測定した相対分子量(重量平均 Mw)は、3種のポリエチレンで15万から22万程度の値だったが、粘度検出器または光散乱検出器を用いた絶対分子量(重量平均 Mw)はそれぞれお互いに近い値を示し、3種のポリエチレンとも10万程度の値となった。PS換算の分子量が過大評価されていることがわかる。また、光散乱検出器で得られる絶対分子量と粘度検出器で得られる固有粘度の関係を表すMark-Houwink-Sakuradaプロットにより、ポリマーの形態や長鎖分岐に関する情報が得られる。図3のとおり、長鎖分岐が多いLDPEは、同じ分子量のHDPEやLLDPEよりも固有粘度が小さくなっている。

関連装置

Agilent製1260 Infinity II High Temperature GPC(AMR社)

適用可能な材料

樹脂、リサイクル樹脂