LCMSによる添加剤分析

事例No.

AC-0034

概要

液体クロマトグラフー質量分析装置を使用して、プラスチックに含まれる添加剤の定性と定量を行った。

お困りごと・要望

再生プラスチックに含まれる添加剤の種類と量を知りたい

事例提供機関

サンプル

ポリプロピレンペレットA(酸化防止剤含有)、再生ポリプロピレンペレットB

分析方法

サンプルA,BについてTHF抽出液を希釈して測定した。定性解析には、飛行時間型の質量分析計を持ち、精密質量が測定できる四重極飛行時間型質量分析計(QTOFMS)のTOFモードを用いた。液体クロマトグラフには、C18カラムを使用し、水(5mM酢酸アンモニウム)/イソプロパノールでグラジエントをかけ、抽出物を分離した。装置付属ソフトウェア(Agilent MassHunter)のMolecular Feature Extraction機能により測定データからピークを抽出し、データベースにより添加剤等を帰属した。サンプルAで検出された添加剤について、トリプル四重極型質量分析計(QqQMS)で定量を行った。同様のグラジエントで、標準試料による検量線を作成して、MRM法により定量した。

分析結果

サンプルAについて定性解析を行ったところ、リン系酸化防止剤(Irgafos168)とその酸化物、フェノール系酸化防止剤(Irganox1010)とその分解物と思われる化合物(triester analog of Irganox1010)、硫黄系酸化防止剤(DMTDP)が検出された(表1、図1)。測定質量は、理論値との誤差が0.3mDa以下(0.53ppm以下)であり、高い質量精度で測定できた。Irgafos168、Irgafos168酸化物、Irganox1010、DMTDPについては、標準試料の入手が可能であり、サンプルAと同じ保持時間を示したことからも、正しく定性できていることを確認した。Irgafos168、Irganox1010、DMTDPの3種の化合物について定量を行ったところ、Irganox1010は約1000ppm、Irgafos168は約900ppm、DMTDPは約2700ppm含まれていることが分かった。一方、サンプルBについて定性解析を行うと、酸化防止剤のほかにエルカアミドなどの滑剤が検出された(表2)。樹脂中の添加剤の種類や量は、樹脂の耐久性に大きな影響を与えるため、再生ペレットに含まれる添加剤の種類と量を把握して製品を設計することが重要であると考えられる。

関連装置

Agilent 6546 LC/Q-TOFシステム
島津製作所 LCMS-8050

適用可能な材料

樹脂、リサイクル樹脂