熱物性測定によるリサイクル樹脂の評価
事例No.
AC-0032
概要
示差熱分析(DSC)と熱重量分析(TGA)により、リサイクルポリプロピレンの目的ポリマーの純度、不純物の混入状況を評価した。
お困りごと・要望
リサイクルポリプロピレンの熱物性がバージンポリプロピレンとどの程度違うのか知りたい。
事例提供機関
サンプル
バージンポリプロピレンペレット、リサイクルポリプロピレンペレット
分析方法
窒素雰囲気下でDSCおよびTGA測定を行った。TGAは700℃での重量残渣を無機成分由来とした。
分析結果
TGA測定では高温(今回は500℃以上)での重量残渣は無機成分(タルク、ガラス繊維など)由来と考えられる(図1)。バージンポリプロピレン(PP)は重量減少率が99.8%であり、無機成分が含まれていないが、リサイクルPP(9銘柄)は、重量減少率が86.5%~100%と幅があった。そのため、原料やリサイクル時の処理方法によっては無機成分が含まれたリサイクルPPが存在することが分かった。DSC測定では、測定した融解エンタルピーと完全結晶のエンタルピーから、結晶化度を算出でき、また、冷却過程における結晶化温度等の情報が得られる。今回の測定でも、リサイクルPPの銘柄によって、融解温度、結晶化温度、融解エンタルピーなどが異なっていた(図2)。また、複数のサンプルで昇温過程の120~125℃に融解ピークが見られ、ポリエチレン(PE)の混入が示唆された。リサイクルPP活用のためには、リサイクルする原料の管理と適切な分析法による品質管理が必要であると考えられる。
関連装置
日立ハイテク製DSC7020
リガク製Thermo plus TG8120
適用可能な材料
樹脂、リサイクル樹脂