陶磁器試験所は、陶磁器の科学的基礎研究の他、原材料から製品の試作まで製造に関する一貫した研究を行ったところに特色があった。当初行われていた中国古陶磁の釉薬研究は、その成果を多くの試作品に応用し公開した。その後、西洋建築が広まる頃には建築用装飾陶磁器の研究が行われ、その成果は昭和3年完成の陶磁器試験所本館に遺憾なく発揮された。また、輸出振興の立場からの輸出用ディナーウエア試作研究では、日本的デザインの食器との融合を試みている。芸術的価値の高い動物置物なども制作された。一方では、安価な大衆品の輸出を目指し、白くて低火度焼成できる「白雲陶器」素地を開発し装飾品に応用したが、これらの研究は太平洋戦争のため中断された。戦後も輸出用陶磁器のデザイン研究は主要なテーマであり多くの試作品が作られた。
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