産業技術総合研究所中部センターにおけるセラミックス分野の研究の歴史は、明治29年に創設された京都市立陶磁器試験場に遡る。大正8年に同所が国に移管され、農商務省陶磁器試験所が開設される際、京都市は付属する財産の全てを国に寄付したが、その中に23年にわたって研究資料として収集した欧米と東洋の陶磁器が含まれていた。陶磁器が輸出の花形産業だった時代背景もあり、陶磁器試験所時代にも欧米を中心とした陶磁器の資料
収集は続けられた。その後組織再編(昭和27年)され発足した工業技術院名古屋工業技術試験所(産総研前身)へと継承された。現在、これら参考品と当所の研究における試作品が2千数百点残されており、中には宋代の磁州窯、高麗青磁などを始め、戦前の欧米の食器や装飾品など、貴重な資料として多くの作品が収蔵されている。ここでは、これまで一般には知られることの少なかったこれら収蔵品を「バーチャルミュージアム」として紹介する。 |