見えない「ひずみ分布」の可視化を実現する技術

ー 応力発光(ML):動的なひずみ分布の可視化 ー

研究のねらい

我々の生活を支えるモビリティや建物などの構造物は、使用期間に、外力や荷重に耐える必要な力(ちから)が得られるか、が極めて重要です。 ただ我々には、“力の情報”は見えず、壊れて初めて分かる事もあります。 現在は、専門家の皆様の経験や知見から適切に予測して設計に反映し、経験を蓄積したデータベースを基に、強度予測・シミュレーションを行います。 しかし、過去の知見やシミュレーションは、正しいのか?思い込みは無いか?気づいていない情報は無いか?常に疑問は残ります。 この課題に対して、我々は独自に開発した“動的ひずみ分布を可視化できる”応力発光技術を活用し、構造材料や構造物に由来する破壊に繋がる“力の情報”の可視化を介して、
① 専門家と同じように皆が直感的に理解でき、
② 時に専門家も気づいていない無意識の情報を拾い上げ、
③ 構造物の評価・予測・設計に、革新を生みだす事、
が研究の狙いです。

主な成果

1.橋、建物など、社会インフラ構造物の【健全性診断(SHM)・状態予測保全(CBM)】を実現
2.軽量モビリティ、グリーンエネルギー(水素・風車)構造物の試験、特に破壊起点の解明に貢献
3.軽量部材や工業部品のひずみ分布を可視化し、【設計・予測の高度化】に貢献
4. モビリティや工場配管、車体電子基板の振動モードを可視化し、耐振動・耐衝撃設計に貢献
5. モビリティ軽量化を加速させる【接着接合】の、評価・設計・予測の高度化と国際規格(ISO8065:2024)に貢献
6. 航空機や車体構造接着の、【接着不良(weak bond含む)検知】に、世界で初めて成功

※当部門のセンシングマテリアル研究グループと連携中


応力発光を活用した、インフラ、軽量・グリーンモビリティ(車体・航空・水素・風車)への貢献

用途・展開先

社会インフラ(橋梁・建物)、モビリティ(自動車、航空機など)、
グリーンエネルギー(水素、風車)健全診断、設計、シミュレーション予測の高度化、国際標準化

関連プロジェクト

● NEDO - 委託事業・クリーンエネルギー分野における革新的技術の国際共同研究「車体接着長期安定化のための界面設計技術開発」 (2021-2024年)
● NEDO - 委託事業・未来開拓研究プロジェクト(技組ISMA)「構造材料用接着技術」(2017-2022年)
● JST-ASTEP(育成型) 多波長応力発光体の創製と明環境4Dセンシング技術の開発 (2020-2022年)
● ATLA - 安全保障技術研究推進制度 「複合材構造における接着信頼性管理技術の向上に関する研究」(2016~2021年)
● SIP - 革新的構造材料 「構造材料の未活用情報を取得する先端計測分析」
● JSPS-科研費・基板B 「革新的3Dトリリオンセンサ作製技術の開発」(2016 ~ 2019年)

成果リスト

外部リンク

1)見えない”力”を見抜く『応力発光』 / サイエンスカフェin鳥栖 【産総研公式】 (講演動画)
https://www.youtube.com/watch?v=7fsA-POmKjA

2)コンクリートが危ない!最新技術は検査を変えるか?「光」と「音」で挑む予防工学最前線
https://gendai.media/articles/-/55048

3)「力」が光で分かる応力発光 / 接着評価も設計も予測も変える新技術 / 日経 xTECH
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01169/00006/

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