本評価書は、1) 暴露評価、ヒト健康に対する有害性評価を包括的に行い、ジクロロメタン暴露(職業暴露は除く)による日本人の健康リスクの現状を詳細に把握すること、2) 排出量削減の費用効果分析を行い、今後も排出削減対策を続けていくべきか否かの判断材料を提供すること、を主な目的として策定した。
特色としては、大気拡散モデルを用いて、濃度・人口の空間分布を考慮して詳細な暴露評価を行っていること、発がんリスクと非発がん性影響のリスクを分けて定量的に評価していること、リスクに対する室外発生源(PRTR対象業種事業所)と室内発生源の寄与の度合いを明確にしていること、などが挙げられる。
得られた結果の概略は以下のとおりである。
1) 現状の暴露レベルでは、発がんリスク、発がん性以外の有害影響リスクともきわめて小さい。また、それぞれのリスクに対する室外発生源(PRTR対象業種事業所)の寄与は室内発生源の寄与に比べて小さい。
2) 事業所における全国規模の排出削減対策の費用対効果は、効果をリスクの減少としてみる場合には、これまでに評価が行われた他物質の削減対策費用と比較して極端に悪い。 |