化学物質リスク管理研究センター
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センター長のごあいさつ

2007年(平成19年)の年明けにあたって
成果を確実にしつつ、新しい飛躍をしたい

 

スターターとクローザー
−クローザーは勝利で締めるのが役割−


今年は随分大変な年になりそうです。何が大変かというと、「終了」と「出発」を同時並行で進めなければならないからです。

「終了」には、二つあります。まず、6年間続けてきたNEDOの「化学物質総合評価管理プログラム」の第1プロジェクト「化学物質のリスク評価及びリスク評価手法の開発」(1プロと略す)を今年(07年)3月末までに仕上げなければなりません。つぎに、この研究センターそのものが来年(08年(平成20年))3月に終了する(発展的解消)ことになっていますので、如何に格好良く終了させるかということがあり、そのために、完成させなければならないミッションがあるということです。

他方、「出発」も二つあります。ひとつは、NEDOの1プロで行ってきたことを受け継いで、新しいプロジェクトを出発させなければならないということです。そして、1プロからの飛躍が課題です。第2の出発は、来年の4月からの新しい組織の出発です。

これまで目標にしてきたプロジェクトはまだ完成していませんから、精一杯その仕事に打ち込んでいるわけですが、それと同時に、それを卒業して、つぎの飛躍のために何が必要か考えて、助走しなければならないのです。先発投手(スターター)と抑えの投手(クローザー)を同時に務めなければならない。クローザーは、勝利で締めくくるのがミッションなのです。


これまでの成果に対する誇りにかけて

リスク評価に対する世間の要求がひどく変わってきたと痛感しています。01年出発するときは、「リスク評価って何?」「そんなの日本人に向かないよ」というのが大方の反応だったのです。最近は、「そんなに時間がかかるのでは、リスク評価は使えないではないですか?」「どういう場合に、どのくらいの暴露があるか、どうして計算できないのですか?」「何時まで、ひとつひとつの化学物質をやっているのですか?複数の化学物質の影響をやらなくていいんですか?」と、私はどこ行っても叱られてばかりいるのです。つまり、多くの人がリスク評価の必要性を理解したのです。また、この研究センターから出している評価書の結果にも信頼感を寄せているのです。そして、誰もがリスク評価の結果がほしいのです。でも、我々の研究センターが完成できるリスク評価は、たった30物質なのです。

もっと、もっと欲しいのです。使いたいのです。こういう変化のすべてに対応できませんが、変化に応える動きのリーダーシップはとれると思います。相当難しいです。全く異なる方法論が必要になるでしょう。しかし、これまでやってきた誇りにかけて、道を開きたいです。


リスク評価は新技術のスペックのひとつ

新規物質、新技術について、リスク評価は機能を表すスペックのひとつであるべきだというのが、我々の基本的な考え方です。そして、ナノ材料、ETBE(自動車用バイオ燃料)、太陽電池のリスク評価に取り組んでいます。日本はもちろんですが、世界を見渡しても、こういう積極的な考えで進めているところは少ないのです。私たちは、研究所の中に生産技術の開発部門をもっていますし、また、経済産業省の下にある研究所ですから、産業技術に関する情報も得易いし、また、リスク評価の結果を生かす機会も多いのです。この研究所こそ、この任を担うべきでしょう。

必ず、この分野で大きな成果を挙げることができると思います。
これまで、環境問題はむしろ、産業と関係ないところが行った方がいいという考えが強くありました。確かに、客観性などの点でそういう面もあるでしょう。しかし、本来環境対策、リスク管理対策は産業技術そのものの中になければおかしいし、また、外側にいてはできないのです。

産総研は、新技術のリスク評価を行うには最も適した場所です。この分野で、地の利を生かし、経験を生かして結果を出していきたいものです。


結果の発信、伝達に努力しよう
−遠近両用になったADMER−

詳細リスク評価書の出版は大きな影響を与えました。しかし、現実に売れている冊数はそれほど多くはありません。もう一工夫が必要です。

産総研本部の応援を得て、英語版の策定をすることになりました。世界に向けて発信です。

これまでも、いくつかのソフトを公開してきました。今年早々、ADMER version2.0の公開ができました。これは、従来のADMERの中に、サブグリッドを作ることで、100m平方meshでの予測が可能になるのです。これで、地方都市や小さな都市などでも精度の高い予測ができるようになりました。すべての自治体に使って頂けるようになりました。

ADMER version2.0を、私はこう表現しています。“ADMERに虫眼鏡がつきました。リスク評価は、細かければいいとばかりは言えません。したがって、従来通り5kmメッシュで大方はいいのです。しかし、場所によっては、より小さなメッシュでの解析が必要になります。そういう場合にサブグリッドを使って頂きたい。つまり、必要に応じて、虫眼鏡が使える、これがversion2.0です。ADMERは遠近両用になったのです”と。私たちは、使う方の身になってソフトを開発してきました。この姿勢をもち続けたいものです。


キラリと光る縦糸研究もほしい

ここまで、どちらかと言うと、横糸研究の話題でした(評価書やソフト)。縦糸研究(従来の専門の研究)分野でもきらりと光る成果がほしいです。次世代ADMERは、その一つです。それから、室内汚染の研究も有望です。リスク指標でも新しい研究成果が欲しいです。生態リスクも成果を期待したいです。
 

 

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