今日、私たちの産業活動や日常生活は、様々な化学物質によって支えられています。一方、産業活動や日常での使用を通じ環境中に放出された化学物質には様々な影響を引き起こす可能性があることから、環境生物やヒトに対する危害が懸念され、また実際に観察されたりしています。
環境安全と化学物質の有効利用を両立させるために必要な、リスク評価、リスク管理のための理論を構築、その研究結果の実例を提示することによって、行政機関、企業、市民の意思決定が、科学的、合理的に行われるよう支援することです。
CRMにおける研究の大きな特徴は、「絶対的な安全は存在しない、リスクは必ずある」という前提に立ち、化学物質の環境に対する危害を確率事象として捉え、リスクを評価、管理する手法の開発を目指していることです。これは、「安全なレベルが存在する」という前提に立ち、個別事象の安全を証明することを目的としてきた従来の化学物質の環境影響評価とは根本的に異なる新しいアプローチです。
「安全か、危険か」といった二者択一的な判断基準ではなく、リスクという新しい概念を導入することによって、環境に影響を及ぼす恐れのある複数の事象を相対的に比較し、評価することが可能になります。リスク削減や管理の手法についても、その効果と経済性を比較し、合理的な判断を下すことができると考えます。
CRMの活動は、基礎研究、実践的研究および社会への貢献の3つの柱から成り立っています。CRMでは研究活動を充実し、成果を上げるだけでなく、積極的にリスク評価、リスク管理に関する情報を発信し、その普及に努めることも重要な使命であると考えています。
化学物質リスク管理研究センター(CRM)は、化学物質のリスク評価およびリスク管理に関連する分野における先進的研究と研究成果の実際的な適用を通じ、科学的データに基づく合理的な環境問題の解決を推進し、持続可能な産業の発展に貢献しています。
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