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産総研 質量標準研究グループ

質量標準研究グループでは、プランク定数にもとづく新しいキログラムの定義から、日本の産業・科学の基盤となる質量の基準を作り出す研究を実施しています。

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フォトコラム シリコン球体の洗い方(更新日:2019年12月26日)お知らせ

 キログラムの新しい定義を導くのに、質量約1 kgのシリコン単結晶球体が決定的な役割を果たしました。この球体は、その所有者である日本、ドイツ、フランスの研究機関の間を何度も行き来しました。測定にあたっては、条件を厳密に合わせなければいけません。輸送の際に着くかもしれないホコリや汚れなどをおとすため、産総研に運び込まれるたびに、ある決まった手順で「洗浄」が行われてきました。洗浄に用いられるのは、最新鋭の装置ではなく、人間がものに働きかけるときの、いちばん簡単な手段である「手」です。

 実験室ならどこにでもあるような、なんの変哲もないシンク。世界に数個しかない貴重なシリコン球の洗浄は、ここで行われます。



 これもまた何の変哲もないプラスチックのケースに、「水」が張られていきます。ですがこの水、ただの水ではありません。水の中にひそむ不純物を取り除いた「純水」をさらに精製した、「超純水」です。



 そして、その中に投入されるのは、半透明の黄色い容器に貯蔵されている特殊な洗剤。シリコン球を洗うときは、世界のどの研究機関もこの洗剤を用いています。



 洗剤を混ぜた超純水を手ですくい取り、球にかけながら表面を回転させていきます。手袋は、クリーンルームなどで用いられる特殊な手袋です。世界のどの研究機関もこの手袋を用いています。



 洗うのは、レーザー干渉計の開発責任者である、倉本グループ長。産総研でシリコン球の洗浄が必要になったときは、必ず倉本が行います。



 球の洗浄は、10分間。球を滑り落とさないように十分な注意を払いながら、全ての表面をカバーするように洗い終えます。



 もう一度超純水を掛け流し、洗剤を洗い落とします。



 最後に、球全体を覆うようにエタノールをかけます。球の表面に水が残っていると、は空気中のホコリやゴミを吸い寄せます。揮発しやすいエタノールなら、その影響も抑えられます。



 最後に格納されるのは、空気清浄フィルターのついたクリーンブース。クリーンブースにしまうときのプラスチックケースは、やはりどこか身近な雰囲気のケースです。世界最高精度の計測のための下準備は、意外なことに「手」作業で進められていました。



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