すべての時代に、すべての人々に
― à tous les temps, à tous les peuples ―
今日、あたりまえに使われている計測の単位、メートルやキログラムは、18世紀末のフランスで誕生し、その後世界に浸透してきました。その背景には、時代や権力によって異なっていた計測単位を、「すべての時代に、すべての人々に」受け入れられる普遍的なものにしようという啓蒙の理念があります。この言葉は、メートル法公布時に掲げられた宣言であり、現在の国際単位系(SI)にも受け継がれています。
そして、このような計量単位を支えているのが、メトロロジスト(Metrologist)です。耳慣れない言葉かもしれませんが、計量標準(Metrology)の研究者・専門家を指します。計量標準総合センターはメトロロジストの集団で、産総研の8つの研究領域の一であり、日本の国家計量標準機関(National Metrology Institute of Japan, NMIJ)として、計量標準の研究開発とその普及に取り組んでいます。
近年、気候変動や環境問題が大きな社会的課題となっていますが、その議論の前提となるのは、温度や温室効果ガス濃度といった測定値の信頼性です。測定結果が時間的・空間的に比較可能であるためには、各国の計量標準の整合が不可欠です。NMIJは国際的な連携のもと、環境や安全を支える計測技術の高度化にも取り組んでいます。
また、「測れないものは作れない」という言葉に象徴されるように、精確な計測は産業競争力の基盤です。自動車、半導体、材料などの分野において、NMIJは産業界と密接に連携し、最先端の計測技術を開発しています。そして秒の再定義や量子計測技術の発展など、次の革新に向けた挑戦が進んでおり、NMIJもその重要な一翼を担っています。計量標準は、科学技術、産業、そして社会の信頼を支える基盤インフラであり続けています。
NMIJは、最先端科学に触れながら社会への貢献を実感できる職場です。
あなたもメトロロジストとして活躍してみませんか。
国立研究開発法人産業技術総合研究所
計量標準総合センター 総合センター長 臼田 孝