1. 透明基板上に成膜された金属薄膜の熱拡散時間(100 ps−6.5 ns)
はじめに
LSI、大容量ストレージに代表される先端エレクトロニクス分野ではデバイスの微細構造化、複雑化が進んでおり、
デバイス開発では内部の熱エネルギ移動、動作中の温度分布を評価するための信頼性の高い熱設計が必要とされます。
産業技術総合研究所・計量標準総合センター・物性統計科・熱物性標準研究室では、ピコ秒サーモリフレクタンス法薄膜熱物性計測システムに
よる金属薄膜の熱拡散時間の依頼測定(室温、熱拡散時間で100ps-6.5ns)を行っています。ピコ秒サーモリフレクタンス法の装置構成は基本的
にバルクにおける熱拡散率標準測定法であるレーザーフラッシュ法と同一です。薄膜の片面を2psのレーザパルス光でパルス加熱した時の裏面の
温度の時間変化を反射率変化から観測します。反射率の変化は測温用のパルス光(2ps)を測定部に照射しパルス光の反射光強度を測定する
ことで得られます。
熱拡散時間τf と膜厚 d 、熱拡散率κf との関係
依頼試験(試験片の校正)
校正対象物は透明基板上に成膜された金属薄膜です。熱拡散時間の長短に合わせて、1台のレーザーを用いる
光学遅延方式(100ps〜750ps)と2台のレーザーを用いる電気遅延方式(750ps〜6.5ns)のいずれかを使用します。どちらの方式を用いて校正
を行うかは事前に試験片のテスト測定を行い判断いたします。校正温度はいずれも室温とし指定はできません。
依頼試験の設定および基本的な手数料は下記の通りです。ご要望に合せて校正内容を組合せ致しますので、詳細はご相談ください。
光学遅延と電気遅延
校正手数料など (平成22年10月15日現在)
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校正手数料
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光学遅延方式 熱拡散時間範囲100 ps〜750 ps : \ 155,700
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電気遅延方式 熱拡散時間範囲750 ps〜6.5 ns : \ 177,200
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校正証明書手数料
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和文(1部につき) : \ 1,300
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英文(1部につき) : \ 2,300
申込先
2. 透明基板上に成膜された窒化チタン薄膜の熱拡散時間(10 ns−1 μs)
はじめに
薄膜は、半導体素子(CPU)や光ディスク、相変化メモリなど身近なデバイスの中に数多く使われている材料です。
より速く、より高密度へと性能向上が進んだデバイスでは、熱マネージメントが素子の信頼性を左右する重要な要素になっています。
産総研では、厚さ1 μm前後の薄膜の熱拡散時間(式1)の依頼試験を行っています。図2に示すように、薄膜は基板側の裏面からレーザパルス光で
加熱され、表面側の温度変化を検出します。その結果得られる膜厚方向の1次元熱拡散の温度履歴曲線(図3)を解析し、熱拡散時間の校正値
を決定します。熱拡散率とするには別途膜厚を測定し、式1の関係を用いてください。またあらかじめ熱拡散時間が値付けされた標準物質の頒布も
行っています。
熱拡散時間τf と膜厚 d 、熱拡散率κf との関係
温度履歴曲線と解析の例
概要
熱拡散時間が値付けされている標準薄膜を利用できます。
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材質 : 窒化チタン(薄膜)/ 合成石英ガラス(基板)
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形状(薄膜) : 9.5 mm×9.5 mm×680 nm
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形状(基板) : 10 mm×10 mm×0.52 mm
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使用温度 : 室温
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相対拡張不確かさ(k=2) : 4.9 %
依頼試験 (平成22年10月15日現在)
校正手数料 1点 : \ 114,400
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校正証明書手数料
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和文(1部につき) : \ 1,300
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英文(1部につき) : \ 2,300
標準物質 (平成22年10月15日現在)
代理店からの購入になります。詳細は下記標準物質認証管理室までお問い合わせください。
申込先
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