座標間に相関のある重み付き回帰曲線の回帰係数の誤差分散とエクセル回帰分析マクロ

 

座標共に不確かさのある重み付き回帰分析(Deming法)においては

 

               

 

の正規方程式を回帰係数ベクトルについて解けばよいとされている。ここで

 

               

 

と定義される重み関数行列であり、の分散・共分散行列と次式

               

 

で定義される感度係数から得られる行列です。感度行列の要素は、それぞれ

 

               

 

です。またベクトルは

 

               

 

の要素からなる一般的なJacobian行列です。ただし、です。

 

正規方程式は重み付き偏差平方和すなわち

 

               

 

を最小にするものであるが、このの最小値は観測値の回帰曲線への当て嵌めの度合い(degree-of-fitness)を評価する指標としても用いられ、当て嵌めの度合いがよい場合は回帰残差平方和はその期待値すなわちに近い値となることが知られています。ここで、は観測点の全個数であり、は当て嵌め曲線(回帰曲線)のパラメータの数です。

 

たとえば、回帰曲線が1次式

 

               

 

であるときは、観測方程式は

 

               

 

であり、正規方程式の係数行列の重み関数の偏微分項は

 

               

 

となるので、結局重み関数の行列表現は

 

 

となります。

 

したがって、相関を考慮しない一般的な重み付き回帰直線の正規方程式は

 

 

です。ただし

 

   

 

で、は回帰係数の近似値です。また個の標本データのうちの番目の観測値です。

 

ところで、ISO 6143:2001(E)によれば、座標共に不確かさのある重み付き回帰分析(Deming法)において、座標間に相関がある場合については、回帰係数の誤差分散のうち純分散の項()は係数行列の逆行列の要素として求められるが、共分散の項()は通常のDeming法では求めることができないため、ある任意の変数()によるある関数()の偏微分と標準不確かさの積が一般的に次式

 

               

 

で近似できることから、Deming法で求められる個の観測値の組の最確値(最小二乗曲線に乗っている計算値)に最初はを加え、次にを引いた値をそれぞれ求めると、個の値が得られますので、これらから上式と次式

 

   

 

から回帰係数の誤差分散を共分散項まで含めて計算できるとされています。

 

このような考え方に基づいてエクセルVBAで作成された回帰分析マクロ

 

deming_ISO_cov_kojima.xls

deming_ISO_cov.xls

deming_ISO_cov_kurahashi.xls

 

を紹介しておきます。