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ユーザーズガイド



2.7. 望遠鏡間のバンド間レジストレーション補正

ASTERは複数望遠鏡方式を採用していることから、望遠鏡間にまたがるバンド間のレジストレーション誤差の補正が必要になる。発生要因は各望遠鏡のボアサイトの変動、ポインティング機構の再現性である。

ここで、重要なポイントは一度求めた補正係数は極短時間であればポインティングを変更しない限り有効であることである。一回の観測時間の最大は16分間である。少なくともこの間は各望遠鏡のボアサイトは安定であると考えて支障は無いので、観測ストリップ毎に補正係数を求めると十分である。望遠鏡間レジストレーション補正は連続した観測ストリップ毎に各望遠鏡の参照バンド間で行われる。参照バンドにはVNIRバンド2、SWIRバンド6、TIRバンド11が選択されている。

バンド選択のための画像合わせの実験がシミュレーション画像により行われたが、これらの参照バンド選択については特別に強い理由があるわけではない。バンド1は大きな大気吸収があること、バンド3は植生についての特異性があることから判断して、バンド2は他のVNIRバンドより多少望ましいようである。バンド6はSWIRの視差誤差補正に用いられているバンドの1つである。バンド11を採用する特別の理由はない。

Figure 2-9にVNIRバンド2に対する望遠鏡間幾何補正のフローを示す。この処理は以下のような手順で行われる。

(1) フルモード観測のデータのみを処理対象とする。
(2) ターゲット画像としてSWIRバンド6またはTIRバンド11、可動画像窓としてVNIRバンド2を選択する。可動画像窓はその中心がシステム幾何補正でのブロックの格子点に対応するように選び、その画像寸法41 x 41 ピクセルとする。ターゲット画像は可動画像窓による検索範囲をもカバーするような大きさに選んでおく。
(3) 前期項目の処理を繰り返して雲無し画像窓のみを選択する。
(4) 画像合わせを行う画像部分に対してラジオメトリック補正を施す。
(5) 軌道平行と軌道直交両方向にピクセル単位で可動画像窓を移動させ、それぞれの位置で相関係数を求める。
(6) ピクセル単位で求めた相関係数を内挿してサブピクセルの分解能で最大の相関係数となる位置を見いだす。
(7) 画像合わせの品質を評価する。品質評価の基準は相関係数である。相関係数の敷居値は当面0.7(TBR)とする。
(8) 項目(2)から(7)までを予め設定された精度に達するまで繰り返す。繰り返しの数の設定値は最低100、最高200とする。
(9) 一つの観測単位の中で前記の繰り返しの数に達しなかった場合には、誤差ゼロとし、失敗の情報を合わせて出力する。
(10) 全誤差データの平均値から3s以上離れたデータを取り除く。
(11) 残った誤差データを平均してその観測の最終的な誤差データとする。
(12) 用いたデータの3s値を求める。


アルゴリズムの評価はランドサットTMと航空機画像から作成されたシミュレーション画像を用いて行われた。SWIR/VNIRのレジストレーション精度は3s値で軌道直交、軌道平行に対してそれぞれ0.054と0.051 SWIRピクセルであった。TIR/VNIRのレジストレーション精度は3s値で軌道直交、軌道平行に対してそれぞれ0.050と0.044 TIRピクセルであった。これらの評価結果から、同じ観測ストリップの中の100点のピクセル合わせの結果を平均することにより望遠鏡間レジストレーションの要求精度3sで0.3ピクセルは満たされていると判断できる。

Figure 2-9 望遠鏡間幾何補正処理フロー

Figure 2-9 望遠鏡間幾何補正処理フロー




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