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6.8. 運用中の検証活動 |
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Terraに搭載されたASTERは、VNIR、SWIR、TIRの3つのサブシステム(センサ)より構成されている。
ASTERセンサの諸元は、本文書のほか本章の最後に示した文献等において詳細に記述されている。
特に、ASTERの構成計画は、本章の最後に示した文献の
「ASTER Calibration WG, ASTER Calibration Plan(ver.1.0), June 1996.」において詳細に記述されている。
ASTERの校正計画における重要な課題は、打ち上げ前校正、軌道上校正、
相互校正および代替校正データによりどの様に校正係数を決定するかである。
ASTERの校正係数を決定するための手法を開発するために、
1996年6月に最初のフィールドキャンペーンが、米国ネバダ州中部のLuna LakeおよびRailroad Valley Playasにて実施された。
ここでは、これらのフィールドキャンペーンにより開発された手法および収集データを示すとともに、
現在計画されている校正計画および校正係数の決定手法を述べる。
6.8.1 ラディオメトリック校正係数の生成
このアプローチでは、OBCデータのみを用いてLevel-1Bプロダクトを作成する。
センサ間の相互校正を含む代替校正の結果は、OBCデータとともにASTERの校正係数の最適化のためのデータとして用いられる。
なお、OBCデータと代替校正結果はASTERセンサの校正担当研究者のパネルによりレビューされる。
また、校正係数の最適値は文書により公表される。
これにより、ユーザはOBCデータによる結果とOBCデータと代替校正結果を組み合わせた手法による結果の差異を評価することが出来る。
本手法による校正係数の最初の決定の打ち上げ前に行われた。
6.8.2 傾向式アプローチによる校正係数の生成
本アプローチは、センサ運用開始の3ヶ月後にOBCデータと代替校正結果に基づき、校正担当研究者のパネルにより行われた。
本パネルでは、次回の校正パネルレビューまでの間のトレンド式を決定する。
多くの衛星センサでは、センサの応答はなめらかな漸近的な劣化傾向を示す。
このため、ASTERにおいても、トレンド式から推定された結果を基に推計を行い、約1年後に評価を行うこととされた。
このアプローチの有意性は校正係数が一義的に決定出来ることである。
なお、第1のアプローチは、Level-1Bの処理アルゴリズムに比較的簡単に取り入れることが可能という点で有効である。
6.8.3 ベースラインとなる校正係数の決定方法
本アプローチは、オンボードの校正システムによる情報の他に、相互校正、
打ち上げ前および打ち上げ後のデータを用いて校正係数を決定する方法であり、
ASTERプロジェクトにおいてベースラインとなる手法である。最適な校正係数を決定するための手順を以下に示す。
- 1) システムA・Bのハロゲンランプシステムの整合性の確認(システムA・Bは17日ごとに起動する)
- 2) バンド内依存の確認(同一サブシステムにおけるバンドは同一傾向を示す)
- 1)、2)を充足する場合は、オンボードの校正データを校正係数の決定に用いる
- 1)、2)を充足せず、相互校正による係数が存在する場合は相互校正データを用いて校正係数を算出する。
- 1)、2)を充足せず、相互校正による係数も存在しない場合は、代替校正データにより校正係数を算出する。
6.8.4 相互校正
TerraにはASTER以外に、MODIS、MISR、CERES、MOPITの各センサが搭載されている。
ASTERはこれらのセンサのうち、MODISおよびMISRと観測波長帯がオーバーラップしている。
このため、ASTER、MODIS、MISRによる同一大気条件、地表面条件、時刻条件による観測が可能である。
これらの3つのセンサは、バンド校正、IFOVが若干異なるとともに、いくつかのレジストレーションの誤差が存在するが、
相互校正は可能である。参考文献の7.〜8.では、MODIS、MISRによるASTERの校正手法の例を示している。
以下に、相互校正において考慮すべき事項をまとめる。
- 各観測機器の観測波長帯の違いによる大気影響の差異
- 各観測機器の観測波長帯の違いによるスペクトル反射率および放射率の差異
- 観測機器データ間のレジストレーション誤差
- IFOVの違い
これらの事項を考慮することにより、観測機器Aのシミュレーションデータを観測機器Bのデータより得ることが出来る。
また、観測機器Aの校正係数は、観測機器Aのシミュレーションデータと観測機器Aの実データの相互比較におり算出可能である。
参考文献
- A.Ono, F.Sakuma, K.Arai, et al.,Pre-flight and Inflight Calibration for ASTER, Journal of Atmospheric and Ocean Technology, Vol.13, No.2, pp.321-335, Apr.,1996.
- P.Slater, K.Thome, A.Ono, F.Sakuma, K.Arai, et al., Radiometeric Calibration of ASTER, Journal of Remote Sensing Soiety of Japan, Vol.15, No.2, pp.16-23, June
1995.
- K.Arai, An Assessment of Height Estimation Accuracy with EOS-a/ASTER, Proceedings of the Spatial Data 2000, pp.73-75, Sep.1991.
- ASTER Calibration WG, ASTER Calibration Plan(ver.1.0), June 1996.
- ASTER Level 1 WG, ATBD:Analytical Theoretical Basis Document for Level 1 Products, Sep.1995.
- ASTER Calibration WG, Calibration Requirement Document, Oct.1992.
- K.Arai, et al., A Cross Calibration Concept Between EOS-a/ASTER and MODIS-N, Proceedings of the 3rd EOS Calibration Panel Meeting in Baltimore, Sep.1991.
- K.Arai, Post Launch Calibration of ASTER with MODIS data, Proceedings of the 3rd Annual IR Calibration Symposium in Utah State University, Sep.1992.
- K.Arai, et al., Accuracy Assessment of the Interactive Calibration of ASTER/TIR with MODIS, Proceedings of the IGARSS'93, pp.1303-1305, Aug.1993.
- S.Tsuchida, I Satoh, Y.Yamaguchi, K.Arai, T.Takashima, Algorithm of vicarious calibration using radiative transfer code based on boubling-adding method, Minutes of
the ASTER Science Team Meeting, June 1996.
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