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地球物理セミナー 平成22年度(第1回〜第20回)

*第20回 2011年2月22日 楮原京子

「八代海におけるマルチチャンネル音波探査」

 熊本県西部にある八代海には,布田川・日奈久断層帯の南西部を構成する活断層群(八代海海底活断層)が分布する.この活断層帯は,阿蘇山麓から北東−南西方向に延びる約100kmにおよぶ長大な活断層で,主として右横ずれを示す.このうち 八代海海底活断層については,国土地理院(1982,1984),千田ほか(1991),九州電力(2008)で分布が示されるものの,トレースは一致しておらず,また,活動性や最新活動時期等に関する精度の高い情報は得られていない.  そのため,発表者らは文部科学省の沿岸海域活断層調査の一つとして,八代海海底活断層を対象とした高分解能音波探査,ピストンコアリングによる総合的な調査を実施した.今回は,この調査の内,ブーマー音源を用いた音波探査の結果について紹介する.

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*第19回 2011年2月15日 横倉隆信

「反射法地震探査から見た関東平野の北西−南東系断層について,ほか」

これまで関東平野において実施されてきた反射法地震探査はかなりの数にのぼります.これらの精度・分解能等はまちまちですが,今や「量が質に転化する」という段階に達したように思われます.そこで関東平野の北西−南東系断層,特に「綾 瀬川断層」「荒川断層」を主として,その連続性などを反射断面で概観してみます.  時間があれば「統合化DB」科振費で構築中の反射法DBや「沿岸域」で行っている反射法調査・既存データ再解析についても述べます.

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*第18回 2011年1月25日 名和一成

「重力と水に関する共同研究ーH22年度の取り組みについてー」

前回の自己紹介のときにいくつか今後の予定を話しましたが,その後どのよう な活動をしてきたか簡単に紹介します.  収穫,料理に至るまでの内容ではなく,種まき,いやその前に畑を耕す段階も 含まれます.気楽に聴いてください.  目下の課題は2月から3月にかけてレンタルするgPhone重力計4台の有効活用 です.

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*第17回 2011年1月18日 住田達哉

「岩手山(薬師岳)の密度モデル構築」

複成火山の内部構造の解明を目的に岩手山およびその周辺で重力探査 を行ってきた.  現在,重力探査の結果および地形や地質の制約を用いて,薬師岳の 密度モデルの構築を行っている.  モデルは,平笠岩屑なだれ跡を埋めるスコリアの低密度,薬師岳 火口を作る円柱状の高密度および薬師岳火口内の妙高岳直下の 低密度からなり,重力異常を上手く表現できる事が分かった.  追加で今年度の秋行われた勇払地域の反射法探査・重力探査で行った 二系統のGPS測量(VRSおよび干渉測位)の比較結果を紹介する.

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*第16回 2010年12月21日 牧野雅彦

「阿武隈調査ほか」

阿武隈の物理探査の概要と地質・地下水との比較について報告する.

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*第15回 2010年12月7日 大熊茂雄

「有珠火山地域地球物理総合図の刊行について」

本年9月に地質調査総合センターから「有珠火山地域地球物理総合図」 (CD-ROM)が刊行された.本講演では,当該の出版物の内容を紹介する とともに,研究の背景と今後の展開について説明する.

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*第13回 2010年11月2日 駒澤正夫

「重力と脈動から見た基盤構造-京都盆地とトルコ・アダパザルを例に」

京都盆地とトルコ・アダパザル盆地において重力データから解析した基盤構造を計算したので報告する.重力基盤の深度と地盤の震動の水平成分と鉛直成分との比に明らかな相関が見られたので併せて報告する.

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*第12回 2010年10月19日 木村治夫

「S波反射・GPRによる綾瀬川断層北部の撓曲変形構造のイメージング」

関東平野北西縁断層帯の綾瀬川断層北部で,撓曲変形帯を横切る測線のS波反射法地震探査と地中レーダー探査(GPR)を実施した.その結果,それぞれ深度約100m,約5mまでの深度変換断面を得た. 過去にほぼ同じ測線で行われたP波反射法地震探査や群列ボーリングの結果もあわせて紹介し,綾瀬川断層の撓曲変形について考察する.

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*第11回 2010年10月12日 中塚 正

「空中磁気データ解析にまつわるいくつかの課題」

停年(2008.03)以後は,週2日勤務でもあり新しい研究に取り組む状況ではありません.それ以前にやってきたことのまとめは相当程度まで発表済ですが,いくつかのやり残したことのフォローをやっている状況です.おもに2008年以降に進めた課題として,「拡張交点コントロール法による磁気異常変化抽出」・「磁気異常の3次元地下構造イメージング」・「空中磁気エキスパートシステム」について話す予定です.

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*第10回 2010年9月14日 伊藤 忍

「宮城県北部における地震波干渉法適用の試み」

2009年9月に宮城県北部で実施した地震波干渉法実験の途中経過を報告する.反射法地震探査の代替となり得るか否か,またそのために必要なものについて検討する.

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*第9回 2010年8月31日 加野直己

「産総研構内での地震波干渉法実験」

まだ途中経過の報告ですが,昨年の6月に行った表記実験についてお話します.ドロップヒッタでの調査結果と干渉法のショット記録の比較を行います.

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*第8回 2010年8月3日 山口和雄

「地下水観測施設周辺の構造調査」

H18以降,東南海・南海地震予測のための地下水等観測施設の整備が行われている.これまでに計14箇所が完了し,それぞれの箇所で構造調査を実施した.構造調査のメニュは反射法あるいはVSPである.整備内容と構造調査の概要を紹介する.その後,最近の事例として,H21の三重県安濃地区の構造調査について報告する.

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*第7回 2010年7月20日 大谷 竜

「GPSを使ったゆっくり地殻変動のとらえ方」

この10年にわたる広域的な稠密GPS観測網の展開により,ゆっくり地震やマグマの貫入等に伴う地殻変動の詳細が明らかになってきた.それに伴い,地震や火山噴火のメカニズム解明に対して大きな期待がGPSに持たれている.本セミナーでは,専門外の研究者にも分かるように,GPSの原理や歴史的背景をふまえながら,特にGPSを使った,ゆっくりとした地殻変動の検出方法を基礎から解説するとともに,現在直面する問題点,そしてその解決のために筆者らが開発している新たなGPS解析方法(ネットワークフィルター)について紹介する.

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*第6回 2010年7月13日 楮原京子

「奥羽脊梁山脈東麓(北上低地−石巻平野)の活構造」

奥羽脊梁山脈東麓には主要断層帯の分布が途切れる地域が存在する.石巻平野〜磐井丘陵もその典型的な地域で,北上低地西縁断層帯と長町-利府断層帯の間に位置する.しかし,この地域では2008年岩手・宮城内陸地震,2003年の宮城県北部の地震,さらに1900年,1962年にM6以上の地震が発生している.このような主要断層帯の空白域の震源断層を推定しようと,北上低地 から石巻平野に至る地域において,地形・地質調査,GPS観測,地震観測を行っている.今回は,このうちの地形・地質調査から理解される本地域の活構造について紹介する.

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*第5回 2010年6月15日 村田泰章

「話題1:シントレックスCG-3M重力計#270の15年の記録」

1995年兵庫県南部地震の後に購入したシントレックス重力計#270で,野外調査の合間に庁舎の地下で測定を続けた測定データが,約15年分蓄積された.このデータを解析し,トレンドや潮汐,気圧応答などの特性を調べた結果を報告する.

「話題2:地質情報インデックス検索システムG-INDEXの管理について」

地質情報の汎用的なWebGISシステムとして構築し,個別のデータベースでGIS機能を開発する手間を省くことを目的とするG-INDEXについて,データの登録や管理といった,管理サイドから見た機能について紹介する.

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*第4回 2010年6月8日 岡田真介

「馬追丘陵・勇払平野の地下構造レビュー」

平成22年度 海陸接合の物理探査の対象である勇払平野は,その東縁を馬追丘陵に境されており,その境界には石狩平野東縁断層帯が存在する.この石狩平野東縁断層帯は日高山脈の衝上断層帯の最前面であり,太平洋プレートの斜め沈み込みに伴った千島前弧スリバーの衝突に起因している.また,thrust frontmigration が顕著な場所であり,馬追丘陵の更に西方にブラインドスラストが存在する可能性が示唆されている.探査に先だって,馬追丘陵・勇払平野の地下構造についてレビューする. また,5月4-18日の2週間にかけて,ヨルダン渓谷の活断層・トレンチ調査に参加した.この成果についても簡単に紹介する予定である.

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*第3回 2010年5月18日 横倉隆信

「関東平野の反射法探査雑感−自己紹介を兼ねて」

ここのところ昔の反射法データの整理に明け暮れていて,研究的なことをしていないので,まとまった話しができません.昔のデータや最近のデータを素材に,また地域もあちらへ飛び,こちらへ飛びしながら,思うところを述べたいと思います.

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*第2回 2010年5月11日 名和一成

「いつでもどこでも高精度重力時間変化検出をめざして」

重力計を持たぬ(持てぬ)重力屋,名和の研究ポテンシャルを知ってもらうために, 最近取り組んでいることを国内周辺状況を含めて紹介する.
具体的には,
・スプリング式重力計による定点観測
・陸水補正法の開発と適用
・絶対重力測定
・重力異常図
・データベース
・アウトリーチ
・委員会等活動等々

について,時間のある限り.これらを,国内最多の重力研究者を擁する産総研(特に新研究グループ)の目指すべき方向性について議論するネタにしていただきたい.

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*第1回 2010年4月20日 住田達哉

「岩手火山の重力探査+α」

 岩手火山重力探査について,調査結果と密度モデル構築およびGPS測量の再解析の進展具合について報告する.密度モデル構築については,平笠岩屑なだれを埋めた構造について地質および地形の情報をとりいれ,できるだけパラメータを少なくしたフォワードモデリングについてこれまでの結果と今後の課題について述べる.GPS測量再解析に関しては,新たに購入したPCV補正モジュールの性能や,電離層補正の効果および複数電子基準点を用いた解析等の結果を紹介する.プラスαとしては,装置開発の状況について簡単に報告する.



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