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研究トピックス

技術資料:国際FEP(仮訳)

2007年11月9日掲載

OECD/NEA が作成した「Radioactive Waste Management: Features, Events and Processes (FEPs) for Geologic Disposal of Radioactive Waste
An International Database」の「APPENDIX C: GLOSSARY DEFINITIONS AND COMMENTS ATTACHED TO THE INTERNATIONAL FEP LIST」を,
産総研・深部センターが日本語訳(仮訳)しました.この仮訳は既に「概要調査の調査・評価項目に関する技術資料,地質調査総合センター研究資料集,no. 459,深部地質環境研究センター編(2007)」の付録として公開されておりますが,これにハイパーテキスト特有の機能(ページ内ジャンプ機能)を付加することにより,読み易くしました.どうぞご利用下さい.
詳細はこちらです→ 技術資料:国際FEP(仮訳)

現在火山が無い場所は、将来も火山が無いのか?

2007年2月1日 掲載

噴火の直撃に耐える処分場を造ることが不可能なら、将来噴火の可能性がある地域への処分場の立地は、当然避けるべきです。国内には、過去数百万年間火山噴火が無く、将来も噴火が無いと考えられている地域が存在しますが、それ以外の地域については、現時点で火山が無いから将来も噴火は無いと言い切ることはできません。ある地域に将来の新規火山が出現する可能性を科学的に評価するためには、マグマがどのような場所にどのような条件で発生蓄積し、そして噴火に至るのかを理解しなければなりません。事例研究を行った山形県の肘折火山の調査から、新規火山の特徴が見えてきました。
詳細はこちらです→産総研Today 2007年2月号 (7巻2号)

火山地質図「岩手火山」

2005年11月14日 掲載

今後発生する噴火の長期予測や火山災害の軽減のための基礎資料として、 岩手火山ついて噴出物分布、噴火履歴、噴火様式などを明らかにしました。 今回の調査では、岩手火山を東西に大別し、 両者が数万年の時間間隔で互いに噴火活動を繰り返したことがわかりました。 また東岩手火山はこれまで数万年の間隔で活動を繰り返してきましたが、 噴火活動が活発化する前には、山体の大規模な崩落が発生していた事が 判明しました。
詳細はこちらです→ 火山地質図「岩手火山」 (PDFファイル;約1.1メガバイト)

原位置応力測定装置

2005年09月30日 掲載

高レベル放射性廃棄物の地層処分等の、 大規模地下空間利用施設建設後の安定性・安全性の評価のためには、 建設後の施設周辺の応力変化を長期的に測定することが必要になります。 ボーリング孔を用いて原位置の応力測定を行う場合には、 原位置岩盤にダメージを与えない「応力解放法」 が測定手法として選択されるますが、 水分が多く存在するような場所では、 歪センサーの固定や絶縁不良などを招きやすい理由で測定が非常に困難です。 そこで新しい方式の測定装置を考案しました。 この「原位置応力測定装置」は電気的な測定手法を用いずに、 載荷荷重と圧力変化の関係から原位置岩盤の応力変化量を算定します。 この装置は岩盤の圧力を測定するための油圧セルと、 温度補償用ダミー油圧セルが一体となった構造を持ち、 水分の多いところでも長時間の安定した連続測定が可能となりました。
詳細はこちらです→ AIST TODAY 原位置応力測定装置 (PDFファイル;約680キロバイト)

非常に古い地下水の年代測定

2004年11月23日 掲載

放射性廃棄物の地層処分問題においては、 地下数百から千メートルの深層地下水の性状 (起源・化学組成・年代・流速・流動方向など) の把握が重要です。 日本列島の地下では、地下水や熱水の混合が活発に起こっているので、 地表上部マントルに及ぶ規模での水循環状態を把握する必要があります。 ところが、日本列島の地下は複雑な水循環構造を持つため、 深層地下水の実態はほとんどわかっていません。 そこで、数万年よりも古い地下水にも適用可能な 地下水年代測定法を開発しました。 この測定法は、地下水が流動を続ける間に、 周囲の岩石に含まれるウラン・トリウムの放射壊変等 によって生成されたヘリウムが、蓄積されることを用います。 放射壊変起源のヘリウム量は時間に比例するので、 ヘリウム濃度・同位体に関する流動モデルを考えることによって、 年代が算出できます。 有馬温泉に近い神戸市街地の地域を対象にこの手法を応用した結果、 神戸市街地深層(地下600m~1500m)の地下水の年代は、 2万から20万年であることがわかりました。 今後、表層から上部マントルに至る規模での 固体地球内の水循環を解明したい。
詳細はこちらです→AIST TODAY テクノインフラ 非常に古い地下水の年代を測る (PDF, 約980KByte)

難透水性材料の高精度測定

2002年12月16日 掲載

廃棄物地層処分にとって、 岩石やコンクリートなど水を通しにくい材料の 水の通りやすさ正確に評価することは、 非常に重要な研究課題です。 通常、材料中の流体の流れやすさ(透水係数;permeability)を測定する際には、 ある一定断面積を持つ柱状試験体の両端面間に水圧差を与え、 単位時間内に供試体を透過する水の流量から算出を行います。 しかし透水性が極めて低い場合には流量が非常に小さいため、 測定機器の限界や水の蒸発などの原因により、 計測は不可能でした。 そこで当センターでは理論と装置開発の両方を研究課題に取り組み、 材料の様々な物性を評価する理論の確立しました。 その結果、難透水性材料の透水係数のみならず、 水を貯める能力を表す貯留係数、水の流れ状態を表す動水勾配、 および実験装置自身による誤差が評価できるようになりました。
詳細はこちらです→難透水性材料の高精度測定と評価

有馬型深部上昇水の起源

2002年12月16日 掲載

火山から遠く離れた所にも温泉が多数存在しています。 それらの中でも、温度が高く塩分濃度が海水の二倍以上という特徴を持つ 温泉水は「有馬型温泉水」と呼ばれ、有馬温泉をはじめとして、 南は和歌山まで近畿地方に広く分布しています。 この有馬型温泉水は、 マグマ起源ガスと同位体組成が酷似していることで知られていますが、 この地域にマグマが存在している可能性はほとんどありません。 日本列島の下に沈み込んだ海洋プレ−トが地下で脱水した際、 それが100kmより浅いところ起きた場合はマグマは発生せず、 数10kmの地下から熱水としてそのまま上昇してくるのではないかと考えています。
詳細はこちらです→有馬型深部上昇水の起源

高精度岩石放射年代測定

2002年12月16日 掲載

火山の噴火活動履歴を明らかにしたり今後の噴火活動を予測をする際に、 ある噴出物の年代を正確に知る(年代測定)ことは必要不可欠です。 一般に年代測定の手法は、試料の古さに応じて使い分けされます。 数万年前以内の火山噴出物は、放射性炭素14(14C)法によって、 比較的正確な年代が求まります。また、数十万年より古い噴出物には、 放射性カリウム(K-Ar法)が適用できます。 しかし数万~数10万年前の噴出物については、 これまで適当な分析法が存在しませんでした。 この空白部分をカバーする新たな分析手法を開発しなければ、 火山の活動履歴を正確に議論することはできません。 そこで産総研は、一般には数十万年前よりも古い火山噴出物に対して用いられる カリウム~アルゴン(K-Ar)法を改良しました。その結果、 1万年前の噴出物でも正確な年代データが得られるようになりました。 新たに開発されたK-Ar法と14C法を併用することによって、 ほとんどすべての火山噴出物の年代を正確に求めることが可能になりました。
詳細はこちらです→高精度岩石放射年代測定

富士火山の火砕流災害

2002年8月15日 掲載

富士山は、直ちに噴火に至るような恐れはないものの、活火山です。 富士山は粘りけの少ないゲンブ岩質マグマの火山であるため、 火砕流の発生はほとんどないものと考えられていました。 ところがこれまでの野外調査から、 富士山の西~南西山麓には約3千年前の火砕流堆積物があり、 その発生年代は山頂火口で爆発的噴火が繰り返し発生していた時期と 一致することが明らかになりました。 この火砕流堆積物の特徴は、 は富士山頂の西~南西斜面にのみに分布し、 地形の効果が強く受けていることです。 すなわちその火砕流の分布は、 傾斜角が34度以上の斜面の分布と良く一致するのです。 一般に、火山弾・火山灰の安息角(斜面で停止可能な最大角;約34度以下)を越える斜面では、 砕屑粒子は転動して斜面上を流れ下ります。 したがって、富士山山頂の西~南西の急傾斜がこの火砕流の原因と思われます。 斜面の状況は今も変わっていないので、 今後も同様の噴火が発生した際には火砕流を伴うと予想されます。 火砕流の本体は富士宮市広見や角木沢の集落地まで到達し得ますから、 このタイプの現象は火山防災上,十分に考慮される必要があります。
詳細はこちらです→富士火山の火砕流災害