- 石油に代わる燃料として注目される液体合成燃料など各種カーボンニュートラル燃料の有効利用方法として、エンジン燃焼の研究を実施しています。
- バッテリー+モーター(電動化)が主流になるという見込みもある昨今ですが、カーボンニュートラル燃料を用いたエンジンは今後も必要なのではという考えに基づき、燃料と燃焼の基礎研究から実践的なエンジン性能研究まで広く取り組んでいます。
- 合成燃料のガソリン・軽油との互換性確認に留まらず、エンジン性能をより高められる燃料とは、という技術的検討と燃料製造時から燃焼時までの総合的なWell-to-Wheelの観点での評価を実施しています。
エンジンシステム高効率化
カーボンニュートラル燃料の燃焼とエンジン性能向上に関する研究
化学分析によるデポジットのメカニズム評価
- ガソリンおよびディーゼルエンジンの燃焼室や排ガス再循環(Exhaust gas recirculation)システムに生成するデポジットについて化学分析などからその生成や成長メカニズムを明らかにする。
- ディーゼルエンジンのEGRシステムに生成するラッカー状の硬質なデポジットの主成分は、燃焼ガスに含まれる多環芳香族炭化水素(PAH類)であり、温度勾配のある配管では露点に達したPAH類が凝縮しデポジットを成長させる。
- デポジット中には高分子の物質も含まれており、それらはPAH類の他、酸化、窒化したPAH類がアミド結合やエステル結合など重合や架橋反応により生成した物質である。
含酸素多環芳香族炭化水素の生成機構の解明
- 流通式反応管を用いた基礎燃焼実験で生成する多環芳香族炭化水素(PAH)および含酸素多環芳香族炭化水素(OPAH)の定量評価手法を開発しています。
- 定量実験結果を再現できるような詳細化学反応モデルの構築に取り組んでいます。また、詳細化学反応モデルを用いた反応解析により、燃焼中に生成するPAHやOPAHの主要な生成経路を明らかにしました。
- 国内外の研究機関と連携し、異なる実験装置や量子化学計算などの手法を用いて、燃焼中に生成するPAHやOPAHの反応経路を多面的に評価しています。
排出ガス浄化システムの評価
- 小規模スケール(実エンジン条件の凡そ10,000分の1)で触媒性能を簡便に見積もることのできる、ラボ室での評価手法を構築しました(図1)。
- 新品との比較により、使用過程品の劣化の度合いを把握でき、また、触媒単段と多段の比較により、複数の種類が組み合わされている触媒システムの劣化メカニズムを推定することができます。
- 構築した触媒活性評価手法と耐久性評価のための加速劣化手法を明文化し、これまで我が国に存在しなかった手順書を作成しました(図2)。
2022年10月より環境再生保全機構研究データベースにて公開しています。https://www.erca.go.jp/suishinhi/seika/index.html 研究課題番号:5-1904 研究課題名:「ディーゼル車排出ガス後処理装置の耐久性能評価手法及び機能回復手法の研究」(2019~2021)
先進X線計測技法による噴霧メカニズム解明
- シンクロトロンX線(SPring-8、米国アルゴンヌ)を用いた燃料噴霧計測技法
- ノズル内部および燃料噴霧直後の密度や速度が高い領域における燃料の可視化及び定量解析
- 新たな噴霧モデルの構築