IV族ハロゲン化物を用いた芳香族類の炭素化(第3報)
-ZrCl4によるキノリンの重縮合と重縮合物の高温熱処理-

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高橋富樹/ 広沢邦男/ 日野雅夫/ 森田幹雄/ 蒲生真一/ 武田新一/ 竹野昇
1996年1月 北海道工業技術研究所報告 65,38-45

 ZrCl4を重縮合促進剤としてキノリンを重縮合し,重縮合成分の分析結果から反応の進行過程を推測するとともに,重縮合段階でZr化合物を残留させた重縮合物を調整し,これを高温熱処理した炭素複合体中の残留Zrの形態変化と母材炭素のグラファイト化性や,生成Zr化合物・炭素複合体(粉体)の酸化反応性を検討した。
 ZrCl4の間で形成する錯塩を反応中間体としてキノリンは付加的に重縮合し,一部分子内あるいは分子間水素移動と生成脂環部の異性化や解裂を伴いつつ高分子化して行く反応であること,添加したZrCl4は酸化物として重縮合物中に残留し,熱処理温度を増すとともに結晶系の発達したZrO2となりZrCに変化すること,キノリンはグラファイト構造の発達した炭素を与え,2,000℃以上で生成するZrC・C複合体はこれらの物理的な複合体と類似な酸化反応性を示し,熱処理温度の上昇によるグラファイト構造の発達とともに母材炭素の酸化反応性は低下すること,1,500℃以下で生成するZrO2・C複合体の母材炭素の酸化反応性は,2,000℃以上で生成する複合体よりも高いが熱処理温度の増加とともに低下し,複合体の寄与が考えられること,が明らかになった。