窒素イオンを注入した304ステンレス鋼の表面構造

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西村興男/ 矢部勝昌/ 斉藤一男/ 山科俊郎/ 岩木正哉
1996年1月 北海道工業技術研究所報告 65,33-37

 アルゴンスパッタエッチングを併用したX線光電子分光法(XPS)によって,未注入および注入量1〜5×1017N/cm2,加速エネルギー90kVで窒素イオンを注入した304ステンレス鋼の表面層における窒化物の形成との構造の変化を検討した。 未注入の304ステンレス鋼の表面層は,クロム富化酸化層と内側に隣接したニッケル富化層から成る二重構造である。 イオン注入後も二重層の表面構造が保たれる。 しかし,注入量の増加とともにクロム富化度が増しクロム富化酸化層の厚さは増加した。 この変化は,表面への金属原子の増速拡散と表面近傍の酸化によって定性的に説明し得る。 注入層の窒素分布の主領域でのCr2N,Fe4Nの生成と表面近傍のクロム富化層でのCrNの生成が観察された。