窒素を注入した種々の金属の表面層の検討

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矢部勝昌/ 西村興男/ 藤花隆宣/ 岩木正哉
1996年1月 北海道工業技術研究所報告 65,28-32

 ラザフォード後方散乱法(RBS)とX線回折法(XRD)によって,注入量3×1017と1×1018N/cm2でイオンを注入した13種の金属ターゲット(Al,Ti,V,Fe,Ni,Co,Cu,Zr,Nb,Mo,Sn,Ta,W)の表面層が分析された。 低い注入量(3×1017N/cm2)に関して注入層内の金属は部分的に窒素化された。 幾つかのターゲット(Ti,V,Zr,Ta)では固溶体が形成された。 立方晶金属(V,Ta)関しては格子は等方性の拡大を伴い,六方晶金属(Ti,Zr)に関しては異方性のc軸方向の拡大を伴う。 ターゲットの注入領域を飽和するまでに充分足りる量の窒素が注入されたときに最も安定な窒化物が生成され,そして保持した窒素の量は窒化物の生成熱の減少に伴って増えた。 その結果は,ターゲット中の窒素の保持率が窒素に対する金属の反応性に強く影響されることを示した。