泥炭の粒状化と及びエネルギー転換技術に関する研究
-第1章 泥炭とその利用技術-
細田英雄/ 田崎米四郎/ 本間専治/ 弓山翠/ 武田詔平/ 富田稔/ 千葉繁生/ 北野邦尋/ 鈴木智
1990年2月 北海道工業開発試験所報告 49,3-5
泥炭とは水ごけ,葦(あし)などの植物遺体が,低温,水などに阻まれて,繊維質が分解しない状態で数千年蓄積したものである。
広義には石炭に含まれることもあるが,熱化学的な作用を受けた石炭とは明らかに成因は異なる。
採掘した直後は茶褐色を呈しているが,空気にさらされると酸化し黒くなる。
泥炭は石油,石炭などとともに地球上に残された貴重な炭化水素資源のひとつである。
しかし世界的な視野からは,賦存量が多い割には含水率が高く輸送,貯蔵性が劣るため経済的な価値が低くみなされ,一部の国を除いては有効利用されていない現状である。
現在,石油の価格は低位に推移しているが,石油資源は有限であり,代替エネルギーの技術開発の必要性は変わっていない。
そこで本報告では,北海道に多量に賦存する未利用の泥炭を燃料として利用することを目的として,脱水処理技術,廃油との混合および燃焼,ガス化プロセス技術を確立し,さらに発電技術と熱利用技術を組み合わせた,コジェネレーションシステムを含めた開発研究を行い,その技術的展望について示す。
また,泥炭の賦存量などについてはプロセス開発をしていくための基本的な課題であるので若干の説明を行う。