石炭液化残渣とガス化灰とによるハイブリッド粒子のガス化

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田崎米四郎/ 千葉繁生/ 弓山翆/ 武田詔平/ 本間専治/ 北野邦尋/ 河端淳一
1988年3月 北海道工業開発試験所報告 46,57-60

 石炭液化の残渣は液化油の精製プロセスにもよるが,遠心分離機残渣と蒸留残渣からなっている。 遠心分離機残渣は固体粒子を含み,しかも高粘度であるためハンドリングも容易でなくその処理は未解決の課題である。 また,蒸留残渣は常温で固体であるが約100℃の加熱で軟化し始めるため,処理装置内での流動化が困難である。 一方,石炭の高圧流動層ガス化炉からの溢流灰および飛び出し粒子は数%〜30数%の未反応炭素分を含んでおり,炭素転換率が低いことが流動層ガス化炉の欠点の一つとされている。 石炭液化に必要な水素は石炭のガス化により製造することが検討されており,具体的方法も提案されているが石炭利用技術のガス化,液化を一つのクローズドシステムとして位置付け,全体として炭素転換率を高くしようとする試みはなされていない。 著者らは以上の観点から実験を重ね,石炭液化残渣とガス化灰とを混合するとハンドリングが容易で流動化可能なハイブリッド粒子となることを見いだした。 本研究では,このハイブリッド粒子を常圧の流動層により酸素と水蒸気でガス化し,生成ガス組成および炭素転換率等に及ぼすガス化温度,ガス化剤の酸素濃度の影響を調べた。