Research

ナノバイオデバイス研究センターのメインビジュアル

Outline

「創る・測る・解く」の研究サイクルで、次世代の医療・ヘルスケア基盤を構築する。

私たちは、バイオ認識技術を核に、分子をつくる化学、応答を取り出す工学、データサイエンスの知見を融合しています。対象を捉える「分子設計」、その応答をシグナルに変える「計測系構築」、得られた情報の意味を読み解く「情報解析」。この三つを一体的に進めることで、これまで捉えられなかった試料の状態を読み解きます。

研究の全体像

有機合成・材料科学・表面化学・デバイス工学・データサイエンスを専門とする研究者が、一つのグループで研究を進めています。合成したプローブをデバイスに搭載し、実試料で測定し、解析の結果を次の設計に返す。この研究体制が、現場で機能する計測ソリューションを生み出す鍵となります。

研究プロジェクト ポンチ絵

Themes

Molecular Design

分子設計 - 対象を捉える

狙った相手に応答する分子プローブを設計し、合成します。有機合成化学、核酸化学、高分子化学を基盤に、標的となるタンパク質や核酸との結合、あるいは標的分子のわずかな構造の変化を、発光や蛍光といった光のシグナルに変える仕組みを分子に組み込みます。

主なシーズ技術

標的に出会うと光る
発光プローブ

ウミホタルルシフェリンなどの生物発光基質と酵素の反応を利用した発光プローブです。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のスパイクタンパク質のような標的に結合したときにだけ、化学発光を生じる分子を設計しています。励起光を当てる必要がないため、試料の自家蛍光などによる背景シグナルを抑えることができます。試薬を加えて数分以内に、nMオーダーの標的を検出できます。

分子設計 ポンチ絵

主要研究員

西原 諒主任研究員

核酸を機能化する分子修飾技術

核酸にリンカーや蛍光分子などを化学的に導入し、新たな機能を付与します。例えば、核酸を基板表面に固定して抗体などとの結合を捉える計測系や、凝集誘起発光(AIE)色素を組み合わせて結合や集合に伴う蛍光変化を読み出すプローブを開発しています。核酸の配列と化学修飾を組み合わせることで、分子認識からシグナル変換まで、さまざまなバイオ計測へ展開します。

分子設計 ポンチ絵

主要研究員

小島 直主任研究員

System Integration

計測系構築 - 応答をシグナルに変える

設計した分子プローブを、半導体チップや固体材料の表面に配置・固定し、標的との結合を電気や光の変化として取り出す計測系を構築します。ナノ加工や表面修飾を組み合わせることで、全血や唾液、細胞のように多くの成分が混ざった試料でも、分離などの複雑な前処理を簡略化して測定できる技術を開発します。

主なシーズ技術

表面に分子を集積した
トランジスタ型センサ

グラフェンや半導体ナノカーボンを用いた電界効果トランジスタ(FET)デバイスです。電流が流れるチャネルの直上に、表面修飾によってプローブ分子の層をナノメートルスケールで形成します。標的が結合すると電流が変化するため、標識や光学的な読み出しを必要としません。素子をアレイ化することで、多様な成分が混在する試料から複数の応答を取得し、そのパターンをオンサイトで捉えることができます。

計測系構築 ポンチ絵

主要研究員

南木 創主任研究員

Data Analysis

情報解析 - 意味を読み解く

多くの成分が混ざった試料から得られる一連の応答を、「指紋(フィンガープリント)」として扱います。成分を一つずつ数え上げるのではなく、試料全体が返す応答のパターンを比較し、パターンの違いが試料の状態とどのように結び付いているのかを、多変量解析や機械学習で読み解きます。

主なシーズ技術

蛍光プローブ群によるケミカルタン
(chemical tongue)

一つの標的だけに応答する分子ではなく、「適度に曖昧な」応答を返す合成蛍光プローブを多数並べたアレイです。試料を加えたときに生じる蛍光の変化を、アレイ全体の応答パターンとして機械学習で読み解きます。あらかじめ何を目印にすればよいかが分かっていない試料でも、状態の違いを捉えることができます。

情報解析 ポンチ絵