研究部門長挨拶

小峰秀彦部門長の写真
研究部門長 小峰 秀彦こみね ひでひこ

AIDX、メタバース等の世間をにぎわせている言葉を振り返るまでもなく、情報通信技術の急速な進化により、情報、人、組織、物流など、あらゆるものがつながり、相互に影響を与える状況が生まれています。知識や価値の創造プロセスが変貌へんぼうし、社会や経済の構造が変化する中において、情報通信技術の重要性は疑いのないところです。他方で、情報通信技術を利活用する人間の特性を知り、人間の特性を踏まえた技術が、付加価値の高い製品、サービスを生み出すことについても間違いありません。情報通信技術の進化とともに、人間を知る 人間を生かす研究開発の重要性も増していきます。人間情報インタラクション研究部門は、人間の心理・生理特性の解明、人間特性にもとづく技術の研究、ならびに人とモノ等のデータ循環じゅんかんを通して、人々の生活を豊かにする製品やサービスの創出につなげます。当部門を構成する心理学、生理学、生体医工学、人間工学、数理科学、情報学の専門家が、それぞれの専門分野のインタラクションを通して、このコンセプトの実現を目指します。

研究部門紹介

人間生活工学・脳科学

この図は、人間生活工学・脳科学の研究場面を表す4枚の図で構成されています。1枚目は、人口気象室での睡眠実験の様子を表す写真です。2枚目は、ニューロリハビリテーション研究における脳機能解明、評価技術、介入技術の3つが循環して繰替えされることを表す図です。3枚目は、高齢者・障害者の感覚特性データベースの画面です。4枚目は、磁場強度3テスラのMRI(磁気共鳴画像)複合計測装置の写真です。

旧 人間情報研究部門時代より、持続可能な社会の中で健康かつ安全・安心で質の高い生活の実現を目指し、脳科学、心理学、生理学、生体医工学、人間工学、数理科学などの知識や知見を結集・融合することにより、人間や生活環境についての科学的理解を深め、それに基づいて、人間機能や生体特性と適合性の高い製品や生活環境を創出するための研究開発を行って来ました。

人間機能を計測し、その仕組みを知ることで、1) 人間が持つ認知機能などを評価・支援する技術、2) 心身適応力向上のための心身機能評価・支援技術、3) 生活自立支援のための身体機能回復技術、4) 高齢者・障害者にも対応した製品・環境の評価・設計支援のための技術を開発し、規格化(JIS/ISO)等を推進しています。そして、人間生活及び医療福祉機器関連産業等への技術橋渡しにも貢献します。

これまでに、内視鏡下鼻内手術トレーニング用モデル・システムを開発する(有)サージ・トレーナーや、3D触力覚技術を応用し世界初のデジタル体感技術を確立し展開する(株)ミライセンス等の産総研技術移転ベンチャーを創出してきました。また、セラピー用アザラシ型ロボットパロは世界の介護福祉施設への導入が進んでいます。

現在は、神経科学的な作用機序に基づくニューロリハビリテーション技術、脳と機械を結ぶブレイン・マシン・インターフェース(BMI)による意思伝達技術治療機器・医療情報ネットワークのIoT化実現に向けた基盤技術等の研究開発を推進しています。