AIST

情報・人間工学領域  人間情報インタラクション研究部門

行動情報デザイン研究グループ

(旧:感覚知覚情報デザイン研究グループ)


Behavior Information Design Group,
Human Informatics and Interaction Research Institute

概要

 製品や環境に提示される多様な情報は、人間の感覚系を通して複合的に処理され、また選択的に知覚されて 行動や思考に利用されます。当グループでは、多様な提示情報が人々に有効に利用されるための方法として、人間の感覚・知覚特性に適 合した人間中心の設計技術(感覚知覚情報デザイン技術)に関する基礎研究を行っています。またこれを基礎とした製品の設計指針や評 価技術開発を通じて、高齢者・障害者への配慮を含む人間工学の実践や、生体安全性と高い利便性の確保された視聴覚環境の整備をめざします。

メンバー

伊藤 納奈 (主務:人間インタラクション研究部門 副研究部門長/兼務:研究グループ長)
関 喜一  (上級主任研究員)
依田 育士 (主任研究員)
渡邊 洋  (主任研究員)
近井 学  (主任研究員)
橘 亮輔  (主任研究員)
王 子洋  (研究員)

氏家 弘裕 (産学官制度来所者/東京情報デザイン専門職大学)
蘆原 郁  (産学官制度来所者/同志社大学音響ナビゲーション研究センター)

研究成果

■行動情報デザイン研究グループ発表文献一覧(産総研 研究成果発表データベース)

■アクセシブルデザインのISOが4件発行されました


代表的な研究

「高齢者および障害者の視覚機能の解明と標準化」

 

 加齢や障害により見え方が異なることがあります。サイン表示や標識に使われる色やコントラスト、 文字、ランプの明るさなどの基本的な視覚情報が見えにくくなると日常生活においても様々な不便が生じます。これらが高齢者や 障害者にとってどのようにすれば見やすくなるのかを研究しています。また得られたデータを基にアクセシビリティに配慮した 製品設計のための規格としてISOやJISを作成しています。 さらに、これらの計測した視覚機能のデータを、これまで同部門の産総研の研究員が計測した聴覚や触覚データと合わせて 「高齢者・障害者感覚特性データベース」)で無料公開しています。

「映像の生体安全性に関する研究開発と国際標準化活動」

  

 映像技術の革新的な進展に伴い、さまざまなメディアやデバイス/システムを通じて、映像を容易に 便利に利用できるようになってきていますが、条件によっては、映像による好ましくない影響が生じることが知られています。 私たちは、映像技術の進展を側面支援することを目的に、映像酔いや3D映像による眼精疲労についての心理的および生理的計測 による基盤的データの集積に努め、これに基づき映像評価手法の開発を進めるとともに、光感受性発作を含めて、これらをでき るだけ抑えるための人間工学的指針開発とその国際標準化を進めています。

<「映像の新時代に向けて「映像の生体安全性」を確保せよ」を参照>

「パノラミックサウンドの配信」

  

 3 次元の空間音響情報は 4 点計測により観測できます。観測されたデータを独自のフォーマットに符号化し, インターネット配信することにより,遠隔地の空間音響をマルチスピーカシステムで再生したり,スマホやタブレット上でヘッドホン 再生したりできます。リスナーはインタラクティブにパンニングや指向性を制御でき,さらに再生側で移動を制御することも可能です。

<「パノラミックオーディオ」を参照>

「没入型VR装置(CAVEシステム)を用いた空間認知研究」

 

 CAVEシステムとは、3平方メートルのスクリーンを前、床、左右に配置し、そこ に3D 映像をゆがみ無く提示する装置です。広い視野、3D、自分の体とバーチャ ル空間の重ね合わせによって、圧倒的なリアリティを感じることができるので す。私たちのテーマは、なぜその道を選んだのか(経路選択)、動く立体映像を 見続けるとなぜ酔いを感じるのか(映像酔い),安全安心な町作りとは(空間認 知)など日常生活に根ざしたものです。精緻な人間工学実験の手法と、現実的か つよくコントロールされた実験場面の融合で、人間行動データの蓄積を進めてい ます。


<CGによる駐車場内を、実際の自転車で走行し、急なドア開け、
後退動作に対する ハンドルとブレーキ操作を測定する実験>

「重度運動機能障害者のためのジェスチャインタフェースに関する研究」

 

 一般のインタフェースを利用することが困難な障害者を対象に、距離カメラを用いることで、非接触非拘束のユーザ自身が望むジェスチャによるスイッチインタフェースを提供するための研究を行っています。
 そのために、既存のインタフェースが利用困難な重度運動機能障害者の多種多様な動きを収集し、随意運動が可能な対象部位を基に類型化を行いながら、基礎となる認識エンジンを開発しています。

<AAGIのホームページ>


「自動車運転支援システムに望まれる適切な情報提示」

 

 自動車の運転支援システムなど高度な自動化機器や情報機器では、動作状態を利用者に適切に提示し利用者が状況を把握し予測できるようにすることで、使いやすさを向上させ誤解がない利用を促すことができます。
 しかし提示される情報があまり複雑では理解できる利用者は限られてしまい、その一方で情報が不充分ではシステムへの信頼自体が損なわれてしまいます。
 どのようなタイミングでどのような情報を提示するのが望ましいのか、自動車運転支援システムのインターフェースを具体事例として研究を行っています。