AIST顔表情データベース2017
AIST顔表情データベース2017
データベースの概要
本データベースは、国立研究開発法人産業技術総合研究所人間情報研究部門にて取得した8名の日本人の顔表情データと、39名から取得した顔表情の心理評定データで構成されています。
本データベースの特色は、1)正面顔を含む左右5方向からの撮影、2)中性顔を含む12種類の感情表出、3)動画とその最大表出を示した静止画、4)全員日本人モデル、となっています。
他のサンプル画像は こちら をご覧ください。
本データベースは学術・研究開発目的の利用にのみ限らせていただいております。
実験刺激として使用される事例が多いため、顔刺激が公知となってしまうと実験結果に影響を及ぼす可能性があります。
このため、いかなる媒体においても顔刺激およびそれらの加工物を公開することは「不可」とさせていただいております(学会発表ポスターや論文誌での掲載もお控えください)。
公開用の顔刺激もご用意しておりません。
顔表情データ
モデルの属性
劇団に所属する俳優8名(男性4名、女性4名)
平均年齢:34.25歳(SD =5.47歳)
表示形式
すべての顔刺激は、動画と静止画の2種類の表示形式を含んでいます(中性顔は静止画のみ)。動画はmp4ファイル形式、静止画はjpgファイル形式です。サイズは600×800pixelです。
動画は、表情が変化する前の500msと表情が表出されてからの2000ms間で構成されています。フレームレートは29.97fpsです。
静止画は動画の最後のフレームを使用しています。
感情表出の種類
恐れ、怒り(開口)、怒り(閉口)、嫌悪(開口)、嫌悪(閉口)、悲しみ、眠気、リラックス、喜び、興奮、驚き、中性の12種類を含んでいます。中性は静止画のみです。
撮影方向
すべての顔刺激は、正面、右90度、右45度、左90度、左45度の5方向から同時撮影した5つの角度の画像を含んでいます。
撮影方法
各感情は2つの方法によってモデルに表出をもとめています。1つは、Facial Action Cording system (Ekman, Friesen, & Hager, 2002)によるAction Unitに準拠して感情を表出する、もう1つは、感情を表出するような場面(例:恐怖「車に轢かれそうになったとき」)を想像して自由に表情を表出する方法です。
1つの感情につき、複数の表出を求め、撮影したものを編集した後、実験者と評定者2名によって、各感情の代表表情を決定しています。詳しくは当該論文をご覧ください。
心理評定データ
評定者の属性
成人39名(男性19名、女性20名)
平均年齢:21.33歳(SD =2.39)
評定項目
各感情の代表表情について、2種類の評定を求めています。
1つは、表情にもっともよくあてはまる感情を1つ選ぶ強制選択法です。これは、表情をカテゴリカルにとらえる心理学的モデルに準拠し、恐怖、怒り、嫌悪、悲しみ、驚き、喜びの表情と中性顔のみを対象としています。感情の選択肢もこの6つの表情と同じです。各表情について、評定者39人中の何人がいずれの感情を選択したのかをその表情の「一致率(agreement rate)」として集計しています。
もう1つは、表情が示す感情を、「快-不快」と「覚醒-睡眠」の2次元で構成された感情空間上で評価するAffect Grid法(Russell, Weiss, & Mendelsohn, 1989)です。9×9のマス目上で評価します。これは12種類すべての表情を対象としています。各表情の快・不快の程度(1 : 不快~9 : 快)と覚醒度(1 : 睡眠~9 : 覚醒)の評定者平均を示しています。
俳優8名、動画は11種類、静止画は12種類の顔表情刺激、それらの5方向の画像、計920刺激すべてについて上記の評価方法で心理評定をもとめています。詳しくは当該論文をご覧ください。
個人情報の取扱い
今回公開するデータベースには、顔情報が含まれています。顔情報を提供いただいた方々には、データベース公開にあたって同意をいただいておりますが、個人情報の扱いには以下のように配慮いたしました。
氏名、生年月日、連絡先は一切公開しません。
顔情報と上記の個人情報は、産業技術総合研究所人間情報研究部門が管理義務と守秘義務を負います。
顔情報に関しては、本データベース使用者にも同様の管理義務を求めます。
顔情報の公開範囲の変更・中止を希望する場合は、速やかに対応します。
また、心理評定に参加していただいた評価者の方には、「個人を特定できる形でデータは公表しない」旨を説明し、同意をいただいております。個人情報の扱いについては以下のように配慮いたしました。
氏名、住所などは公開しません。
上記の個人情報は、計測を行った産業技術総合研究所人間情報研究部門が責任を持って管理し、一切外部には出しません。
引用
本データベースを使用した研究成果を公開する際は、下記の論文を引用してください。
Fujimura, T. & Umemura, H. (2018). Development and validation of a facial expression database based on the dimensional and categorical model of emotions. Cognition & Emotion, 32, 1663-1670. (PDF / DOI )
データベース入手の方法/データベースに関するお問い合わせ
データの入手を希望される方、または内容などに関するお問い合わせは下記までお願いいたします。
折り返し、提供にあたってご提出をお願いしているアンケートおよび使用同意書、ご連絡票フォームをお送りいたします。
※高校生以下の方が希望される場合、ご担当の先生からご連絡をいただけますようお願いいたします。
AIST顔表情データベース問い合わせ窓口
facial-expression-ml[AT]aist.go.jp
※ [AT] は @ に置き換えてください。
文献
Ekman, P., Friesen, W. V., & Hager, J. C. (2002). Facial Action Coding System: The manual. Salt Lake City, UT: A Human Face.
Russell, J. A., Weiss, A., & Mendelsohn, G. A. (1989). Affect Grid: A single-item scale of pleasure and arousal. Journal of Personality and Social Psychology, 57, 493-502.