アーカイブ室 図書業務
図書業務
地質の研究では、どんな最新の研究でも過去の研究の成果の上に成り立っています。このため、既存の研究成果の確認が欠かせません。産総研地質調査総合センターでは、図書室・地質図ライブラリーを一般の方がどなたでも利用できるよう公開しています。地質情報基盤センターアーカイブ室は、その運用業務を担当しています。
図書室・地質図ライブラリー
地質研究者の数が国内最大の機関である産総研地質調査総合センターは、国内最大規模の地質関係図書・資料の所蔵機関でもあります。研究所の歴史が長いこともあって、古い文献や入手しにくい資料も所蔵しています。
図書閲覧室の様子。一般の利用者も入室できるスペースです。
地質図ライブラリー閲覧室の様子。地質図類の企画展示を行っていることもあります。
資料の収集
地質調査総合センター(旧地質調査所も含む)発行物をはじめ、国内および国外の各機関との文献交換、購入、研究者などからの寄贈により、地質を中心とした地球科学に関連した資料を幅広く収集しています。
資料の管理
資料の管理にはいくつかの留意すべき点があります。ときには図書や印刷に関する専門的な知識も必要になります。
以下にいくつか例を挙げます。
- 定期的な配置確認:図書類が必ず所定の書棚にあるように維持します。
- 製本:雑誌類を年単位などでまとめ、背表紙を付けて探しやすくします。
- 適切な温度・湿度管理:おおよそ室温23℃前後、湿度50%前後に保つ必要があります。
- 定期的な整理整頓・清掃:ホコリや虫の発生を防ぎます。
- 修復と保存:資料を長く保全するため、修復や、脱酸性化処置を行います。必要に応じアーカイバル容器で保管します。
修復の一例
所蔵している資料には、
- 汚れ、ほこり、シミ、カビがついている
- 折れ癖や折れに添った亀裂、破断がある
- 本紙に悪影響を与えると考えられるテープが貼られている
- 裏打ちと呼ばれる、本紙を補強するため裏面に貼られる和紙が痛んでいる
- ホチキス綴じが劣化している
- 明治・大正時代発行地図には、切断され数ミリ隙間をあけた状態で接合されたものがある
など、様々な状態で劣化しているものがあります。
これらを長期に保全するため、より良い状態に修復すると同時に、切断され接合された地図は隙間なく接合し直す作業を行っています。
劣化の例
処置後
折れ癖による亀裂・破断
和紙による接合およびフラットニング
裏打ちの剥離および破断
新たな裏打ち
過去の粘着テープによる補修
粘着テープの除去
ホチキス綴じの劣化
糸による綴じ直し
切断され隙間をあけた状態での接合
隙間なしで再接合
修復写真提供:株式会社資料保存器材
保存の一例
資料は必要に応じて、紙の中の酸をアルカリ物質により中和し、紙の劣化を緩やかにする脱酸性化処置を行っています。
また修復・保存処置を行った資料をはじめ、資料の置かれている状態にあわせて、中性紙を用いて作成されたアーカイバル容器(保存箱・封筒など)を用いて保管しています
保存箱
中性紙板と薄葉紙
中性紙封筒
これら修復と保存処置は専門的知識・技術が必要とされるため、適切な業者に委託して行っています。劣化の状態から、依頼する業者と相談の上で処置方針を決め、作業の依頼をします。
修復および保存の記載は、日本ファイリング株式会社および株式会社資料保存器材のご協力をいただきました。
メタデータ整備
所蔵している文献は、素早く探し出せることが必要です。このため、図書室を運用する組織では1957年から冊子体の文献目録を毎年発行していました。現在では冊子体での発行はなくなり、代わりに文献を検索する「地質文献データベース」等がウェブ公開されています。
検索した文献データは、csv形式でダウンロードすることができ、公開データにリンクしているものもあります。
公開サービス
このようにして収集・管理されている地質文献は、以下のサービスを通じてご利用いただけます。
既存の地質研究成果・報告の調査・情報収集に、ぜひご活用ください。