現在、社会的な関心を集めている原子力発電所から出た放射性廃棄物の有効な処分方法の一つとして、廃棄物を地下深部の地層中に閉じ込めてしまう地層処分が検討されている。
地層処分では安全性の確保が最も重要な課題の一つして挙げられており、廃棄物に直接影響を及ぼす可能性のある地下水の性質や流動状況の把握を実施している。我が国においては、北海道の幌延において堆積岩を対象とした研究が、岐阜県の瑞浪においては結晶質岩を対象とした研究が実施されており、産総研は幌延において、堆積岩を対象とした地質のさらに沿岸域における地下水影響を勘案したプロジェクトを実施している。これは、我が国の原子力発電所がすべて沿岸域に立地していることに起因している。実際には、海陸を貫通した探査技術の開発や、地下1200mに達するボーリングを行うことで、深部地下水環境や地質環境を把握することを目的としている。
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