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音波探査

音波を用いる海域の探査

音波探査のイメージ地球上の3分の2を占める海洋に隠されている地球の様子を知るために音波を使います。陸上のレーダーで使われる電波は、海水中ではすぐに減衰してしまうので、海底面までほとんど到達しないためです。音波を用いる海域の探査は大きく3つに分けられます:地形、後方散乱強度、構造探査がそれです。

地形

音波が発信機から発出されて観測対象にぶつかり、跳ね返って受信機に戻ってくるまでの時間を計測し、これに音速の情報を加味して、距離に換算します。一面平坦に見える海洋の底には、富士山も隠すほどの大きな凹凸があまたあります。地球が誕生して現在に至るまでに、陸域がどこで生まれ、移動し、衝突してきたか、そのヒントは海域から提供されます。大陸棚延伸海域を把握する、気候変動予測に資する、火山活動や津波のトリガーとなる地滑りなどのジオハザードを把握する、海流を支配し生物移動にも影響するなど、海底地形は陸域で暮らす私たちにとっても重要な基礎情報のひとつです。

後方散乱強度分布

音波が発信機から発出されて観測対象にぶつかり、受信機に戻ってきた際の強さを計測し、観測対象の「相対的な固さ」の指標として扱います。岩石や鉱床など固い海底からは大きな散乱強度が、遠洋性堆積物に覆われる陸から遠く離れた海域では一般に小さな散乱強度が得られます。この情報は、たとえば海藻の分布探査や、沈船あるいは漂泊物の探査に用いられます。また熱水鉱床や表層型メタンハイドレートなどのように、柔らかな海底面が広がる海域に固い鉱床が顔を出している場合には、その分布調査ができます。この調査は地形とは異なり後方散乱強度を観測するだけであって、受信時に各種計算を必要としないので、一般にデータ密度が高く、地形よりも高い分解能で物質分布を知ることができます。特にバックグラウンド(柔らかい海底面)と観測対象物(より固い何か)のコントラストが十分に大きな場合には、水深2,000mを超える海底面付近にある数cmの対象さえ検出できる優れた技術です。

構造探査

地形や広報散乱強度分布調査に用いる音波よりは周波数を下げ(波長を長くし)、音波が海底面を透過して海底下の地層境界から反射して受信機まで戻ってくるようになると、海底下の地質構造などの情報を獲得できます。この手法は陸上でも広く用いられ、石油や天然ガスが濃集する構造の探査には欠かせません。海底面を透過した音波は、海底下にある物性が変化する場所(地層境界や潜頭性鉱床との境界など)で都度跳ね返り、その情報をもって受信機まで戻ります。探査したいターゲットの「深さ(透過深度を決定)」「大きさ(分解能を決定)」を決め、丁寧な解析を行う技術をもって、ターゲットをより鮮明に可視化することを目標にします。技術者と研究者が総力をあげてその腕を見せます。