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リクルート

物理探査の研究開発をする研究員を募集します

産総研では職場見学など、採用に関するイベントも開催しています。イベント情報はこちらをご確認ください。

2025年度には、大学生~PDを対象にしたGSJ見学会が実施されました。物理探査RGでは室内実験を用いて弾性波探査の説明をしました。

新メンバー紹介

火山に隠された秘密を電磁気探査で読み解く ― 井上 智裕 ―

2025年4月より、物理探査研究グループに配属されました井上智裕です。北海道大学で博士後期課程を修了後,九州大学地震火山観測研究センターのポスドクを経て、着任いたしました。私は、地球電磁気学的手法を用いて、火山地域や内陸地震発生域の地下構造研究に取り組んでおります。特に、マグマや熱水に関わる火山活動がどのような場で起きているかに注目して研究活動に取り組みました。

電磁気探査の手法の 1 つである地磁気地電流法は、自然の電磁波変動を利用して地下の電気的物性(比抵抗)を可視化するための技術です。電気を通しやすい物質には、マグマ・熱水などの流体や熱水変質粘土鉱物などが挙げられます。流体や熱水変質粘土鉱物の分布を調べることによって、火山におけるマグマ供給系や浅部熱水系の構造をモデリングすることができます。そして、どのようにマグマや熱水が地表に到達しているかを議論し、火山活動について推測していきます。

これからは、フィールド調査だけでなく物理探査に役立つ新技術の開発をしながら、地圏資源環境という分野にも関わっていきたいと思います。これまで火山研究を主軸にしておりましたが、地圏資源環境研究部門に来たため、火山以外の分野に手を広げて研究を進めていきたいと思います。まだまだ慣れず大変な面もありますが、部門内外の方々と協力して、研究成果をつくっていきたいと考えております。

物理探査技術を用いて社会課題を解決したい ― 児玉 匡史 ―

2021年より地圏資源環境研究部門の物理探査研究グループに配属されました、児玉匡史と申します。私は2020年度に東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻の修士課程を修了し、修士型研究員として採用していただきました。大学院ではミュオグラフィと呼ばれる物理探査手法に関して数値計算を利用して分解能評価を行なっていました。

ミュオグラフィは宇宙線に含まれる素粒子ミュオン を利用して物体内部の密度を推定する物理探査手法で す。物理探査手法の中でも比較的新しいこの技術は、 火山や遺跡、炭鉱さらに東日本大震災の際に被害を受 けた原子力発電所内部の調査など近年様々な物体の密 度推定に利用されるようになりました。

私の最初の目標として、物理探査研究グループにて ミュオグラフィと既存技術とを統合的に利用した探査 手法の開発、評価、実践を行いたいと思っています。 そのためにも今後は数値計算だけでなく、実験や調査 も交えて多面的に課題にアプローチしていきたいで す。またこれまでは探査データを自ら採取すること がなかったのですが、今後は機会があれば積極的に フィールドに赴いて、そのような経験を増やしていき たいと思います。

自分自身まだまだ未熟ですので物理探査に関しては もとより、専門を問わずに様々な知識や考え方を貪欲 に吸収し、高い専門性と広い視野を持てるよう努力し ていきたいと思います。そして一人では解決できない ような課題に皆様と協力して取り組み、解決に繋げら れるよう全力で努めていく所存です。

児玉さんは産総研のインタビューサイトでも紹介されています

グループ長挨拶

物理探査研究の新時代の予感 ― 神宮司 元治 ―

物理探査研究グループは、地圏資源環境研究部門の 中でも、産総研発足時から存続している数少ない研究 グループの一つです。当グループはその発足以来、20 年以上にわたって日本の物理探査をリードする存在と して重要な役割を果たしてきました。現在も質の高い 研究を行っており、その研究レベルは国内外で最高レ ベルと認められています。当グループも社会に役立つ べく研究を続けてきましたが、日本社会の状況は産総 研の発足時から大きく変化しており、その変化に合わ せて要求される研究内容や方向性も大きな変革を求め られています。特にここ数年、基礎研究・応用研究だ けでなく、実際の問題解決や具体的な製品開発などを 目指す実用研究も重視するようにシフトしています。 物理探査研究グループもこの変化に対応し、実用研究 の推進に貢献しています。物理探査研究は比較的具体 的な研究開発目標を定めやすく、技術開発もハードウ ェアや解析技術など実用研究に適しています。そのた め、基礎研究がしっかりしていれば、応用研究から実 用研究までスムーズに進むことが期待でき、今後の実 用研究の進展が期待されています。

ところで、物理探査に関連する技術として、生成 型 AI やその他の新しい人工知能技術が近年急速に発 展し、注目を集めています。物理探査の分野では、ニ ューラルネットワークを用いた逆解析など、機械学習 の技術的な応用が以前から行われていますが、生成 AI はこれとは異なる特性を持つ人工知能です。生成 AI の特徴の一つは、データや画像の言語化能力です。物 理探査では、測定した地下データを可視化し、その解 析画像や様々な補助データを基に探査対象の解釈や推 論を行うことが一般的ですが、たとえば、図 1 のよ うな比抵抗断面図(埋立地での例)を生成 AI である ChatGPT に読み込ませ、事前説明なしに解説を依頼す ると、以下のような回答が得られます。驚くべきこと に、人間が解析画像を見て考えることと同じような回 答を出してきます。

地表付近(0 ~ 1m):比抵抗が非常に高く、黄色やオ レンジ色で示される部分が見られます。この領域はお そらく乾燥した土壌や砂利が存在することを示唆して います。

中間層(1 ~ 2m):緑色で示される部分が多く、これ は比較的平均的な比抵抗を示しています。この層はお そらく、普通の土壌や岩石層を示しています。

深い層(2 ~ 3m):青色や紫色で示される部分が多く、 比抵抗が低いことを示しています。この領域はおそら く水分が多い、または導電性の高い物質が存在するこ とを示唆しています。

このような画像情報の言語化や解釈は生成 AI の得 意分野であり、他のデータとの融合や高度なプロンプ トを与えることで、より専門的な推論が可能です。物 理探査データの人工知能による解釈は未来的な展望を 示し、物理探査の専門家でない人も、AI を活用して一 般向けの説明や解釈ができるようになれば、物理探査 技術の一般利用は増加すると考えられます。そのため には、一般の人々が AI による解釈を通じ、物理探査 データを多角的に利用する時代が来ることを見越し、 様々なフィールドで、低コストでデータを入手し、目 的に応じた結果を提供できる探査技術の開発やデータ 提供の環境を日々整備していく必要があります。物理 探査研究グループは、これからも社会課題の解決や科 学的探求に貢献する、新時代をリードする実用的かつ革新的な物理探査技術の研究開発を推進します。

図1 埋立地での比抵抗断面図の例(地表付近は路盤、中間層は埋め土、深い層は海水が存在)