産総研エネルギープロセス研究部門エネルギープロセス変換研究グループ

コア技術

当グループでは、熱化学反応、固気接触反応、吸着・脱着操作、マイクロ波触媒反応などを組み合わせ、新たな物質転換を実現するプロセス技術の開発に取り組んでいます。固体触媒の開発、反応解析、触媒劣化評価、反応器設計、粒子循環プロセス、シミュレーションを一体的に扱うことで、基礎的な反応現象の理解から実用化を見据えたプロセス開発までを一貫して進めています。

加圧反応装置、固定層・流動層・移動層・ロータリーキルン型反応装置、マイクロ派触媒反応装置などを活用し、グラムスケールの基礎評価からキログラムスケールの大型ラボ試験まで対応可能な研究基盤を整備しています。これらのコア技術を活かし、CO2利用、天然ガス転換、バイオマス・廃棄物利用、水素製造、排熱回収など、幅広いエネルギー・資源変換プロセスの高度化に貢献しています。

  • 固体触媒開発、反応解析、触媒劣化分析

    CO2、天然ガス、バイオマス、合成ガスなどの炭素資源を、燃料や化学品原料へ変換するための固体触媒開発を行っています。CO2メタネーション、液体燃料合成、BTX合成、水素製造などを対象に、触媒材料の設計から反応解析、触媒劣化評価まで一貫して取り組んでいます。また、構造・組成解析、反応速度論解析、数値シミュレーションを活用し、触媒性能だけでなく反応器やプロセスを含めた最適化を進めています。

    主な保有技術・評価手法

    • 触媒構造解析、組成分析、最先端分光分析による反応機構・劣化要因解析
    • 反応速度論解析、熱・物質移動等の数値シミュレーション
    • グラムスケールの微分反応器からキログラムスケールの積分反応器までの触媒評価
    • 常圧・加圧条件下での触媒性能評価
    • 高温・不純物共存環境における触媒劣化・耐久性評価
  • 粒子循環型プロセス/流動層・移動層・ロータリーキルン

    流動層、移動層、ロータリーキルンなどを活用した粒子循環型プロセスの開発に取り組んでいます。これらの技術は、固体触媒、吸着材、バイオマスなどの粒子と反応ガスを効率的に接触させることができ、CO2回収・変換、水素製造、バイオマスガス化、排熱利用などの反応・熱利用プロセスの高度化に有効です。特に、二元機能触媒を用いた統合型CO2回収・変換プロセスでは、CO2を吸収した粒子を循環させながら反応を進行させる新たなプロセス開発を進めています。単塔型装置による基礎評価から循環型装置による連続運転試験まで実施し、実用化を見据えた反応器設計・プロセス開発に取り組んでいます。また、粒子挙動解析や反応シミュレーションを活用し、スケールアップや運転条件の最適化を進めています。

    主な保有技術・評価手法

    • 流動層・移動層・ロータリーキルンを用いた固気接触反応・熱利用プロセス開発
    • 単塔流動層・移動層装置による反応特性、粒子挙動評価
    • 循環型流動層・移動層装置を用いた連続運転試験およびプロセス実証
    • DEMによる粒子循環挙動、混合特性、滞留時間分布解析
    • 粒子挙動解析と反応解析を組み合わせた連成シミュレーション
    • 反応器設計、運転条件最適化およびスケールアップ検討
  • ハイスループット触媒評価・データ駆動型触媒開発

    ハイスループット実験と機械学習を活用したデータ駆動型触媒開発に取り組んでいます。多数の触媒候補を効率的に評価するとともに、実験データ、文献データ、計算科学データを統合的に活用することで、新規触媒材料の探索を加速しています。全自動6連式ハイスループット触媒試験装置を用いることで、複数の触媒や反応条件を高速に評価し、触媒組成や担体、添加元素、反応条件が性能に与える影響を効率よく解析できます。また、実験データと計算科学データを組み合わせた機械学習モデルの開発にも取り組み、限られた実験データから有望な触媒候補を予測する手法を構築しています。これらの技術を活用し、CO2変換、天然ガス転換、水素製造など幅広い反応系に対する新規触媒開発を推進しています。

    主な保有技術・評価手法

    • 全自動6連式ハイスループット触媒反応試験装置を用いた高速触媒評価
    • 触媒組成、担体、添加元素、反応条件の効率的探索と最適化
    • 文献データ、実験データ、第一原理計算データの統合的活用
    • 機械学習・転移学習を用いた触媒性能予測モデルの開発
    • 少量データ環境における新規触媒候補の効率的探索
    • 実験と機械学習を組み合わせたデータ駆動型触媒開発
    主要成果
    1. "Transfer learning from first-principles calculations to experiments with chemistry-informed domain transformation", Machine Learning-Science and Technology, 2025/04
    2. "Scaler Transfer: A Simple and Data-efficient Simulation-to-Real Transfer Scheme for Materials", AI4Mat: AI for Accelerated Materials Design, Proceedings, 2025/12
    3. 学会等発表 転移学習を用いた触媒性能予測モデルの開発, 化学工学会第88年会, 2023/3
  • マイクロ波を利用した新規反応場・触媒診断技術

    マイクロ波を利用した新しい触媒反応場の開拓に取り組んでいます。マイクロ波加熱は、材料や反応場へ直接エネルギーを供給できるため、迅速加熱、選択的加熱、局所加熱が可能であり、反応効率の向上やプロセスの省エネルギー化が期待されます。小型マイクロ波装置やシングルモードマイクロ波装置を用いて、CO2回収・変換プロセスやメタン改質反応などにおいて、温度スイング操作や局所加熱による反応制御を検討しています。また、マイクロ波を加熱手段としてだけでなく、触媒状態をリアルタイムで把握する診断技術としても活用しています。

    主な保有技術・評価手法

    • シングルモード小型マイクロ波装置を用いた新規触媒反応場の開拓
    • 迅速加熱、選択的加熱、局所加熱を活用した反応制御
    • CO2回収・変換プロセスやメタン変換プロセスへのマイクロ波利用
    • 温度スイング操作による反応促進および省エネルギー化検討
    • 共振周波数変化を利用した触媒状態のリアルタイム検出
    • 触媒上の炭素析出・劣化挙動のその場診断