延伸プロセスにおける複合材料の分子配向過程を可視化

事例No.

AT-0011

概要

延伸プロセスにおける、複合材料中の高分子の配向変化過程を、顕微赤外分光法を用いて可視化することで、高強度発現のメカニズムの知見を得た。

お困りごと・要望

複合材料の界面相互作用が機械特性に及ぼすメカニズムを調べたい

事例提供機関

サンプル

高分子複合材料:水酸基含有ポリプロピレンとシリカフィラーを溶融混錬して作製

分析方法

レオ・オプティカル赤外分光 (IR) イメージングでは、延伸時の材料に対して、偏光顕微IRスペクトルをその場分析することで、延伸変形に伴う局所的な分子配向の変化を捉える。スペクトル解析に二次元相関法を活用することで、延伸時の局所的な変形挙動に関する情報を高感度で可視化する。

分析結果

複合材料に延伸変形を与えた状態で偏光顕微IR測定を行った。高分子中の結晶と非晶の吸光度変化の不均一性を指標にして、延伸変形の評価できる。そこで、IRスペクトル中の非晶と結晶に由来するバンドの吸光度変化の不均一性をマッピングすることで、局所的な配向挙動を解析した。100%以上のひずみで延伸させた時に、フィラー界面近傍の高分子配向が抑制されていることが可視化された。これは、複合材料の相互作用により、界面近傍の分子運動性を抑制することで、強度が向上することを示している。

関連装置

コメント

偏光顕微IRと延伸測定を組み合わせることで、界面等の局所領域における特殊な分子配向を可視化できる。

適用可能な材料

複合材料、繊維強化樹脂