太陽電池封止材の劣化構造解析

事例No.

AT-0002

概要

自由体積と呼ばれる分子間空隙の大きさを評価できる陽電子消滅寿命測定を活用し、太陽電池の封止材(EVA)の劣化挙動を解析した。

お困りごと・要望

加水分解等の劣化による太陽電池封止材の非晶構造変化を深さ方向で調べ、発電性能低下のメカニズムを解明したい。

事例提供機関

サンプル

分析方法

使用前後の結晶Si太陽電池モジュールから封止剤のエチレンビニルアセテート樹脂(EVA)を取り出し、陽電子消滅寿命測定装置(Fuji-imvac PALS200A)を用いて、陽電子打ち込みエネルギーを変化させて測定を行った。

分析結果

使用済みモジュールから取り出したEVAでは、未使用のものに比べ、分子間の隙間である自由体積空隙サイズが小さくなっていることがわかった。これは、EVA側鎖からの脱酢酸により分子構造が変化したことに起因すると考えられる。自由体積空隙サイズの減少は、太陽電池の発電性能の低下と相関しており、発生した酢酸により太陽電池の劣化が進んだことを示している。また、自由体積空隙サイズの変化は、表面近傍(陽電子打ち込みエネルギーの低い領域)ほど顕著に観察されており、EVAと他の材料の界面近傍で加水分解等の反応が促進されたことが示唆された。