急速冷却条件下の高分子結晶化挙動の評価

事例No.

AC-0051

概要

プラスチックの成形加工時には、材料は急速に冷却され短時間で固化する。
この毎秒数度~千度以上の高速冷却条件下でのプラスチックの結晶化やガラス化といった現象を正確に評価することは難しかった。
そこでチップ型マイクロセンサーを採用した超高速DSCを用いて、高分子の急速冷却条件下での結晶化挙動の評価を行った。

お困りごと・要望

ポリプロピレン(PP)の固化挙動を知りたい

事例提供機関

サンプル

PPペレット

分析方法

超高速DSCを用いて、毎秒数~数千度の冷却速度でポリプロピレンを冷却した時の結晶化ピークが現れる温度を調べた。

分析結果

PPの薄片をミクロトームで作成し、チップセンサー上に静置した。
試料を加熱・融解し、その後-50℃まで急速冷却する過程の結晶化に伴う潜熱の発生を調べた。
50K/sの冷却速度ではα晶に由来する結晶化ピークが観察されたが、冷却速度が大きくなるほど低温側へとピークシフトし、200K/s程度ではα晶のピークより低温側にメソ相に由来する結晶化ピークの出現が観察された。
さらに高速冷却条件ではPPの結晶化ピークが現れなくなり、1000K/sの冷却速度ではガラス転移のみが観察された。

関連装置

超高速DSC(メトラー・トレド、Flash DSC2+)
ウルトラミクロトーム(ライカマイクロシステムズ、Leica EM UC7)
DSC(パーキンエルマージャパン、DSC8500)

コメント

試料からおよそ100マイクロメートル四方、厚さ10マイクロメートル程度の切片を切り出して測定します。このサイズ以上のフィラーを含有している場合は評価が難しくなります。