含水サンプルの高度凝集抑制乾燥

事例No.

AC-0022

概要

超臨界二酸化炭素を用いた臨界点乾燥装置により、サンプルの凝集や収縮を高度に抑制して乾燥。化学処理で作製したナノセルロースや微生物の乾燥処理も可能。

お困りごと・要望

含水サンプルを凝集・収縮させずに乾燥したい。

事例提供機関

サンプル

含水サンプルイメージ(ナノセルロース、植物、花粉、微生物)

分析方法

ナノセルロースは製造時に水が必要なため、含水物として得られる。また、多くの生物サンプルは水分を持っている。これらを電子顕微鏡等で観察する場合、乾燥処理が必要であるが、多くのサンプルで、乾燥方法が適切でないと、凝集や変形が発生する。特殊装置を用いない方法として、サンプル中の水をt-ブタノール置換して凍結乾燥する方法が用いられる。さらに凝集性が高いサンプルでは、水をエタノール置換し、超臨界二酸化炭素で乾燥する臨界点乾燥が有効である。どちらの方法もサンプル中の水を完全にt-ブタノールやエタノールに置換することが重要である。

分析結果

t-ブタノール置換-凍結乾燥法では、再現性の良いサンプルを調製するためには、10回程度以上の置換操作が必要であった。また、凍結乾燥では、サンプルが十分な乾燥したと見える場合でも、分子レベルがでも残存することがあるため(特に、ナノセルロース)、凍結乾燥は1週間以上実施した。臨界点乾燥法では、数段階でエタノール濃度を変えて、最終的にエタノール100に置換した。エタノールは吸湿しやすいため、モレキュラーシーブ等の脱水剤も用いて置換用の100%エタノールを調製して用いた。置換が不十分な場合は、超微細ナノセルロースの場合、凝集部分が白くなる。微生物を臨界点乾燥することで、変形を抑制した乾燥サンプルが作製でき、電子顕微鏡で形態を観察することができた。

関連装置

コメント

アルコール置換操作の完全時実施することが、凝集抑制したサンプルを調製する上で、とても重要。3nmの超微細ナノセルロースは、臨界点乾燥後に、大気中に放置すると、容易に水を吸着して、凝集部分が発生する。凝集部は、白濁する(凝集していない部分は、半透明)。

適用可能な材料

各種ナノセルロース、微生物、植物、その他含水サンプル、ゲル状物質等