分散液の安定性・沈降特性評価

事例No.

AC-0016

概要

溶媒に分散した物質やエマルジョンの沈降・凝集特性を光学的手法で連続的に評価。他の方法では解析しにくい、毛羽立ち等の表面状態の情報も得られる。

お困りごと・要望

懸濁物の沈降特性を評価したい。

事例提供機関

サンプル

懸濁物の沈降を表すストークスの式

分析方法

ナノセルロースは比重が1.5であり、数wt%の高濃度ではクリーム状であるが、0.1wt%程度に希釈すると沈降する。沈降パターンを数値化・グラフ化するため、懸濁物を入れたサンプル管の上下方向の光透過性を連続的に評価できる沈降特性評価装置で、サンプル特有の沈降特性が評価できる。この方法は、エマルジョンの安定度合い(沈降、凝集)も評価できる。

分析結果

ナノセルロースの濃度を0.1wt%程度に調節し、沈降特性評価で評価すると、比表面積測定で求めた微細化の程度と相関しない沈降特性を示すサンプルが存在することが分かる。比表面積測定結果から想定される沈降特性より、遅い沈降を示すサンプルは、毛羽立ちや枝分かれが存在していると考えられる。沈降では、分級も同時に起こるため、階段状の沈降パターンは、複数のサイズのナノセルロースが存在していることを示すと考えられる。

関連装置

コメント

懸濁物の沈降特性評価は、サンプルを乾燥して評価する必要が無く、乾燥サンプルを必要とする他の方法では得られない情報が得られる。他の評価方法の結果と総合することで、ナノセルロース等では、毛羽たち、枝分かれ等の情報も得られる。測定は、ガラス製サンプル管での光透過性から評価するため、有機溶媒への分散物の評価も問題なく行える。微細なサンプルでは、測定に数十時間必要な場合もあるが、測定そのものは自動である。

適用可能な材料

ナノセルロース分散液、エマルジョン、固体分散スラリー等