ナノセルロースの形状評価
事例No.
AC-0014
概要
含水ナノセルロースを高度に凝集抑制して乾燥(アルコール置換・凍結乾燥法等)させ、高分解能電子顕微鏡を用いて1kVの低加速電圧で形状特性を評価。
お困りごと・要望
ナノセルロースの形状特性を評価したい。
事例提供機関
サンプル
分析方法
凝集性の高いナノセルロースをt-ブタノール置換-凍結乾燥法や臨界点乾燥法で適切に乾燥して、観察用サンプルを作製する。次いで、走査型電子顕微鏡(SEM)や原子間力顕微鏡顕微鏡(AFM)で形状・形態観察を行う。ナノセルロースは、超微細な有機繊維であり、電子線のダメージを受けやすい。そのため、高倍率で観察するためには、電界放出型走査型電子顕微鏡(FE-SEM)を用いる必要がある。その場合の加速電圧も1kV程度で実施する。観察画像は、装置の特性も受けやすい。走査型電子顕微鏡観察では、導電化処理(蒸着、スパッタリング)が必要であるが、ナノセルロースでは、オスミウムコートが適している。
分析結果
凝集を抑制して乾燥したナノセルロースをオスミウムコートしてFE-SEMで観察することで、ナノセルロースの形状・形態が確認できる。AFMでは、導電化処理が必要ないため、よりナノセルロースの形状確認ができるが、AFMのカンチレバーにより、太く観察される場合がある。高さの情報は、カンチレバーの影響が少ない。
関連装置
コメント
SEMやAFMによる形状・形態観察は、サンプルの一部のみしか評価できいなため、全体を平均化した値を得るためには、比表面積測定等との組み合わせが必要な場合もある。木材由来ナノセルロースと比較して、柑橘由来は、木材のような細胞壁構造がないため、幅3nmのナノセルロースが特殊な処理なしで得ることができる。
適用可能な材料
木材、パルプ、柑橘等農産物由来の各種ナノセルロース。複合材料等でのナノセルロースの状態観察も、前処理を適切に行えば、実施可能。