化学品製造研究チーム
概要
CO2から合成ガス、BTX等の基礎化学品原料、ポリウレタンやポリカーボネート等の機能性化学品原料を合成するための電解・触媒・反応プロセス技術の開発を行います。
さらに、これらを産業排ガス等から一貫製造するために、CO2回収プロセス研究チームと連携して連結実証を行います。
加えて、CCUSシステム評価研究チームと連携して、CO2分離回収から化学品製造に至る一連のプロセスの評価・統合化を行います。
研究課題

CO2からの合成ガス製造技術の開発
固体酸化物形電解セル(SOEC) を用いたCO2とH2Oの共電解による合成ガス(CO/H2ガス)の製造技術の開発を行っています。
システム単体としては効率が高いSOECについて、産総研東北センターに数百W~1 kW級を設置し、CO2分離回収装置等と連結した際の課題を抽出するとともに、 SOECスケールアップに向けたスタック性能、一貫製造プロセスの総合効率、およびSOECスタックの耐久性等を向上させるための要素技術を開発します。

BTX等基礎化学品製造技術の開発
CO2の還元により得られたCOの水素化反応により、BTXを高効率で合成することが可能な触媒の開発を行っています。 具体的には、①高温域でも機能する合成ガス(CO/H2)からのメタノール合成触媒と②メタノールを効率良く芳香族炭化水素に変換する触媒の開発研究を行い、 得られた両触媒の成分を一つの触媒に組み込んだ「高機能ハイブリッド触媒」の精密設計に取り組んでいます。
合成樹脂、合成繊維、塗料、溶剤、接着剤、医薬品、農薬などの原料となるBTXを石油資源からではなく、CO2を出発原料とした製造が実用化できれば、炭素循環技術の構築に大きく貢献できます。

機能性化学品原料製造技術の開発
石炭火力発電所や工場から排出される排気ガス中の低濃度・常圧の二酸化炭素を機能性化学品の原料へと化学変換するための技術開発を行っています。
合成ターゲットは、グリーン水素を使用することなく非還元的に合成することのできるカルバメートやジアルキルカーボネートなどの含酸素化学品です。
反応基質であるアミンやアルコールが二酸化炭素を化学吸着することで生成するカルバミン酸塩やアルキル炭酸塩を、カルバメートやジアルキルカーボネートなどの含酸素化学品へと直接変換します。
これによって得られるカルバメートは脱アルコールすることでポリウレタン原料であるイソシアネートへと変換することが可能です。