第28回国際度量衡総会 (CGPM) 開催
2026年10月に国際度量衡総会(General Conference on Weights and Measures (CGPM))がフランスのベルサイユ国際会議場で開催されます。CGPMはメートル条約加盟国が一堂に会し、世界の計量単位について議論し、決議を行う国際会議です。今回のCGPMの議題には、「秒の将来の定義」、「うるう秒の今後の運用」、「月の時系」などが挙げられています。
国際度量衡総会 (CGPM) とは
世界共通の単位系を確立し、それを世界に普及させることを目的として、1875年に17カ国が参加してメートル条約が成立しました。以来150年以上にわたり、メートル条約の活動は継続しており、現在ではメートル法を基本とする国際単位系(SI)を定め、世界中の国々で共通の単位が使われるようになっています。現在、メートル条約には65の加盟国と35の準加盟国及び経済圏、合わせて100カ国・経済圏が加盟しています。日本は、1885年に加盟した初期の加盟国の一つで、加盟以来、その運営に科学的、国際的に協力しています。
メートル条約は、国際度量衡総会(CGPM)と、国際度量衡委員会(CIPM)、国際度量衡局(BIPM) といった国際組織で運営されています。
国際度量衡総会は、約4年に一回開催される、全加盟国の代表が集まって単位やその運用について議論する、メートル条約における最高意思決定機関です。2026年は、第28回となる国際度量衡総会が開催されます。NMIJは国の代表である国家計量標準機関として、これらの議論に参加し、貢献しています。
| 会議名(開催年) | 決定事項 |
|---|---|
| 第1回(1889年) |
国際メートル原器及び国際キログラム原器を、それぞれ長さの単位、質量の単位の定義とすることを承認 各国原器の配布を決定 水素気体温度計による百分割温度目盛(0℃~100℃)の承認 |
| 第9回(1948年) |
測光の単位「カンデラ」(cd)の採用 電気単位の定義の承認 |
| 第10回(1954年) | 熱力学温度目盛を水の三重点により定義することを決定 |
| 第11回(1960年) |
「メートル」(m)の定義を真空中における放射波長に基づいて決定 「秒」(s)を暦表時により定義 国際単位系(SI)の採択 |
| 第13回 (1967年−1968年) |
セシウム原子の遷移周波数に基づく時間の単位の定義を正式に承認 「カンデラ」(cd)の定義を修正 |
| 第14回(1971年) | SI基本単位として物質量の単位「モル」(mol)を採用(7つの基本単位が揃う) |
| 第16回(1979年) | 光度のSI単位「カンデラ」(cd)を表現する定義を改定 |
| 第17回(1983年) | 「メートル」(m)を光の速さに基づく定義に改定 |
| 第26回(2018年) | 4つの SI 基本単位(kg、A、K、mol)を基礎物理定数に基づいて再定義 |
過去の議決の内容の正文は、下記のサイトで閲覧することができます。
https://www.bipm.org/en/committees/cg/cgpm/cgpm-resolutions
また、国際単位系(SI) 第9版(2019) 日本語版に抜粋された決議の一覧の日本語訳が記載されています。
https://unit.aist.go.jp/nmij/public/report/si-brochure/
第28回国際度量衡総会 (CGPM) の主な議題
今回のCGPMの主な議題には、「秒の将来の定義」、「うるう秒の今後の運用」、「月の時系」が含まれています。
秒の将来の定義
現在、1秒は、セシウム原子時計に基づき定義されていますが、さらに正確な定義を実現しようとする議論が進んでいます。現在議論されている新しい定義の候補は、光時計。その中でも光格子時計は、有力な候補となっています。NMIJでは、数億年に1秒のずれもなく運用できる光格子時計の技術開発を進めています。今回のCGPMでは、2030年を目標に国際協力のもと秒の再定義に向けた研究開発を進めることが議論される予定です。
うるう秒の今後の運用
うるう秒は、原子時計に基づく協定世界時(UTC)と、地球の自転に基づく世界時(UT1)のずれを調整するため、UTCに1秒を加える、または差し引く仕組みです。1972年の運用開始以来、これまで27回、いずれも1秒を加える形で実施されました。
しかし、この“1秒を加える操作”は、コンピューターや通信システムにさまざまなトラブルを引き起こす可能性があるため、これまで極めて慎重に実施されてきました。さらに将来、「1秒を差し引く」必要が生じる可能性も指摘されており、その場合には、より大きなリスクを伴うことが懸念されています。
そこで、UTCとUT1のずれをある程度許容し、少なくとも数世紀はうるう秒の調整をしないで済む、うるう秒の実質的な廃止が議論される予定です。決議案が採択されれば、地球の自転の不安定さから生じるデジタル社会へのリスクが排除された時の刻みが実現すると期待されています。
月の時系
これまで人類は月に長期滞在することを想定していなかったため、月専用の時間体系はありませんでした。しかし世界各国で月面の探査活動や基地の建造・居住を目指す計画が進む中、月での時間、空間を、統一的に定義する必要が出てきました。
一方で、月では重力が弱いため、地球よりわずかに速く時間が進みます。この違いはごく小さいものですが、宇宙船の航行や通信では無視できない誤差になります。そのため、月に適した独自の時間の仕組みを作り、それを地球の時間(UTC)と正確に対応づける必要があります。
今回のCGPMでは、国際的に共通な「月の時間」をどのように統一的に定めるかが議論される予定です。