受賞報告(2019年度)

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石塚 治主任研究員が2019年度日本火山学会優秀学術賞を受賞

活断層・火山研究部門火山活動研究グループの石塚治主任研究員が2019年度日本火山学会優秀学術賞を受賞しました.同賞は,直近数年間において火山学に関する優れた学術貢献のあった火山学会会員 に贈られるものです.日本惑星地球科学連合2019年大会での日本火山学会総会(5月28日)で承認されました.
石塚 治氏の授賞研究テーマは「初期島弧の形成に関する年代学的・岩石学的研究」です.石塚氏は,Ar/Ar年代測定システムと火山岩の全岩化学組成・同位体組成分析システムを構築し,潜水船・無人探査機・掘削船などによって採集した海底岩石試料に適用することで,伊豆・小笠原・マリアナ弧形成最初期のテクトニクス・火成活動史を高精度に復元することに成功しました.石塚氏の成果は,沈み込み帯形成最初期には上盤側プレート縁辺部において海洋底拡大に類似した玄武岩質マグマ活動が短期間起こり,その後島弧火成活動に漸移することを明らかにしたものです.これは従来の海洋プレート形成モデルにも一石を投じる成果であり,火山学にとどまらず,海底ダイナミクス分野においても重要な科学的発見の一つとして評価されました.

 

山元孝広総括研究主幹,石塚 治主任研究員が2019年度日本火山学会論文賞を受賞

山元孝広総括研究主幹,火山活動研究グループ石塚治主任研究員が2019年度日本火山学会論文賞を下記の論文の共著者として受賞しました.

 

受賞対象論文

著者:Takahiro Yamamoto, Takashi Kudo, Osamu Ishizuka (2018)

題目:Temporal variations in volumetric magma eruption rates of Quaternary volcanoes in Japan.

掲載誌:Earth Planet and Space, 70:65

同賞は,雑誌「火山」あるいは「Earth, Planets and Space」に掲載された論文中,火山学に関する独創的で特に優れた論文の著者に授与されるものです.日本惑星地球科学連合2019年大会での日本火山学会総会(5月28日)直後の授賞式で,篠原宏志会長から賞状が授与されました.

山元氏らの論文は,29の日本の第四紀火山の噴火史のデータを取りまとめ,マグマ噴出率の時間変化の再評価を行った論文である.本論文では既存データの取りまとめにとどまらず,化学組成変化と噴出率変化の関係の評価に基づくマグマ供給系の変化に関する一般化を試みています.本論文に示されたデータ・考え方は火山活動の長期的評価には欠かせない重要なものであり,今後の関連する研究に大きな波及効果が期待できるものとして評価されました.