簡便なデバイス作製で、ユビキタスなモニタリングを実現する技術

ー 溶液から造る耐熱性ZnO圧電シートセンサとその応用 ー

研究のねらい

着座姿勢に着目した実用的なドライバーモニタリングシステム開発に向けた技術課題の一つとして、 圧電シートセンサには、感度などの初期性能だけでなく、耐熱性、低コスト、大面積などの総合的要件が求められています。 しかし、フレキシブル圧電体として広く使用されている高分子系圧電材料PVDFには耐熱性が低いという難点があります。 そこで、溶液プロセスによりポリイミド基材上に成膜された酸化亜鉛(ZnO)膜をベースとした簡便な手法で、 シンプルなセンサ構造からなる耐熱性圧電シートセンサを提案します。

主な成果

溶液を塗布して形成されたZnO粒子膜は、その成膜過程において自発的結晶配向性を利用して圧電応答性を示し、ポーリング処理は不要です。
ポリイミド基材上に作製したセンサの圧電応答性は、120℃での熱処理試験前後で変わらず,ZnO圧電シートセンサの高耐熱性を確認しました。
酸化亜鉛圧電シートセンサは柔軟に変形するため、椅子に装着したセンサは、被験者に違和感をほとんど与えることなく、 生体情報や体動を検知できます。
耐熱性圧電シートセンサを座席内部に組み込んだ将来のスマートカーのドライバーモニタリングなど、 ユビキタスにモニタリングするための実用的なセンサ開発を進めています。

自発的な優先配向を利用した圧電応答性

ZnO圧電シートを用いた体動検知

【展望】ドライバー着座姿勢モニタリング

用途・展開先

ZnO圧電体の堅牢さ・低コスト化を期待して
車載応用(ドライバー着座姿勢モニタリング)、屋外や高温装置のモニタリング

成果リスト

外部リンク

1)上記の論文2記事が出版元American Chemical Society (ACS) Weekly PressPacでプレスリリース
 “Impaired-driver sensor could pave the way for safer vehicles” December 08, 2021

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