大面積・均一ダイヤモンド薄膜を合成する技術

ー 大面積CVDダイヤモンド薄膜合成技術 ー

研究のねらい

熱フィラメントCVD法は、タングステン、タンタル等の高融点金属ワイヤーを通電加熱によって加熱し(>2200℃)、 原料ガスを分解して前駆体を生成する方法である。 原理的に成膜面積の制約がなく、12インチ以上の領域にダイヤモンド薄膜を形成することが出来る。 この特徴を活用して、硬質皮膜・工具コーティング応用、電気化学センサ、水処理用電極としての産業利用が広がっており、 また近年ではGaN-HEMT用のヒートスプレッダ、単結晶ダイヤモンドデバイス応用に注目を集めている。

主な成果

これまで熱フィラメントCVD法は、低い成長速度(~0.1 µm/h)と金属ワイヤーからの不純物混入が課題であり エレクトロニクス用途への応用は限定的であったが、近年、超高濃度p型、n型ドーピングが可能であること、 高融点の炭化タンタルを用いることで3000℃のフィラメント温度を実現でき、10 µm/hを超える高速成長が可能であることが報告された。
超高濃度ドーピングに関しては、金属半導体界面の接触抵抗を下げるのみならず、プラズマCVD法と比べてマスクパターンへのダメージが少ないため、 微細なコンタクト層への応用が期待される。また、高速成長については、熱源とダイヤモンド基板表面までの距離と成長温度を 適切に制御することにより、結晶性の高い単結晶厚膜が得られている。

大型熱フィラメントCVD法によるダイヤモンド薄膜成長時の様子

多結晶ダイヤモンド薄膜のSEM像

ナノ微結晶ダイヤモンド薄膜のAFM像

用途・展開先

BDD電極、単結晶ホモエピタキシャル成長層、硬質皮膜

成果リスト

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