現在の日本ではエネルギー源の大部分(約95%,2012年)を、石油やウランなどの枯渇性のエネルギーの輸入に頼っています。こうした枯渇性のエネルギーは、温暖化などの環境への影響に加え、輸入価格が高騰したり政治的取引の材料にされるなど、将来の利用には不安があります(図1)。近年はエネルギー価格の上昇により、日本のエネルギーの輸入額も増える傾向にあります(図2)。
これに対し、太陽光発電、太陽熱利用や風力などの再生可能エネルギーは運転用の燃料を輸入する必要がありません(バイオマス燃料を輸入した場合を除く)。国内で持続的に得られるエネルギーを利用しますので、エネルギーの自給率を高め、日本の安全保障に末永く貢献します。
太陽光発電は単に温室効果ガス排出量が少ないだけでなく、太陽電池や周辺機器の製造に使ったエネルギー(電力や熱など)よりもずっと大きなエネルギーを生み出す、優秀な発電方式でもあります。ライフサイクル中に発電するエネルギーを、投入するエネルギーで割った値をエネルギー収支(Energy Payback Ratio:EPR)と呼びますが、現在の技術では太陽光発電のEPRは10~30倍以上にも達すると見られています。
現在の日本における太陽光発電の導入量は、日本の全ての発電所の設備容量(約315GW、2014年)に比べてまだ少なく(約40GW、2016年末時点)、さらなる普及が期待されています。日本中の主な建造物や遊休地などには設備容量にして200GW前後が無理なく設置できると見積もられています。これは現在の日本全体の年間総発電量の2割を供給できる量です。また導入量50GWpあたり、日本の年間の石油輸入量(約3億kl)の約4%を削減することができます(*1)。
太陽光に加えて、風力、バイオマス、水力/マイクロ水力、廃棄物利用、地熱、温度差利用エネルギーなどを合わせますと、日本の電力需要の大部分に相当する量のエネルギー資源が、国内に存在すると見積もられています。こうした再生可能エネルギーや新エネルギーを積極的に利用することで、持続的で安全、かつ温暖化ガスの排出量も少ない電力が利用できるようになります。
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